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2018年09月01日
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カテゴリ:映画の話

9月の声を聴いたかと思うまもなく涼しくなりまして、
何とか一息でこのままとはならず、厳しい残暑も例年の事です。

BSTBSで放送された


黄金のアデーレ 名画の帰還 [ ヘレン・ミレン ]
を観ました。

実話であり、近代史の困難な時代を生き抜き、
美しい思い出を取り返すまでの感動作です。

劇中、涙がこぼれそうになったり、引っ込んだり、
随分と日本人の感覚とは違う言動と所作だったりしますが、
感動的なセリフと戦中と変わらないウィーンの街並みが象徴的です。

映画の表題クリムトの傑作「黄金の女」は
主人公の美しい叔母であり幸せだった一族の象徴でした。
クリムトは「接吻」程度しか存じませんでしたが、
劇中の有力画商のセリフで

「私は一目で恋に落ちました」
と言うシーンがあり、無理からぬ事で、
私も好きな絵画の一つとして幸せな気分になりました。

その画商が返還・入手の目的を遂げるために、
持ち主のマリアに奮闘を続ける弁護士を若いので心もとない、
まるで少年と最前線で戦うような事なので、
私がアインシュタインのような弁護士を用意できると言い、
マリアはそれまで気分良く調子を合せていても、

「ご心配なく、私は少年と最後まで戦います」

と言ってのけ、とても感動的なシーンでした。

劇中、マリアの回想シーンは建物や街並みが全くと言っていいほど同じで、
それだけにナチスに蹂躙された暗く苦しい時代と、
人種の迫害に結果的に加担した当時の重苦しさが映画に重厚感を持たせ、
クリムトの傑作を見事に捉え美しい映画になりました。

弁護士のランディ氏の奥方も尋常ではなく、
マリアと双璧を成す人物であり、ランディ氏も一人では到底無理だった気がします。

終わりの頃にマリアが「取り返せばスッキリすると思ったのに、
胸のつかえが重く、考えてたように幸せな気分になれない」
と言うのも理解と言うよりも感覚として感じ入りました。

ウィーンでの協力者のジャーナリストが返還の困難を伝えるセリフに
「黄金の女」はオーストリアのモナリザなんだ
と言う下りがありまして、
ふと、日本のモナリザは・・・と思いまして、
検索しましたら岸田劉生の麗子像に行き当たります。
個人的には序の舞あたりを推したいのですが・・・

そんな色々な事もよぎりながら、
あんな時代を経験せずに済む幸せも感じたひと時でした。






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最終更新日  2018年09月02日 21時59分39秒
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