「メロンパンとカレーパン、買うてきたで」
と、ちょうど昼になる頃に、母が袋をブラブラさせて帰ってきた。
メロンパン好きの私としては、先ず最初に確かめるのが表皮の硬さだ。やわやわのメロンパンは、メロンパンとは認めん！　ただの甘いパンじゃ！
指先で突付くと、コツコツと音がする。・・・合格でおじゃる。

で、どっちを先に食べようか。悩むこと、数分。
硬いメロンパンも、明日になれば水分でやわやわになる。でもカレーパンは油を使ってるから、早く食べるに越した事はない。うーむ・・・。
腕組みする私に母の一言。
「両方食べたらええやんか、入るやろ？」
「・・・入るね」

さて、味の濃いカレーパンにかぶりついて、私は絶叫した。
「うわあああっ！　何か入ってる！！！」
普通ならルーと細かい野菜ぐらいしか入ってないのに、てんで別の歯ざわりがあったのだ。
見ると細長い肌色のものが・・・。

「ゆっ、指やあああああああっ！！！！」

その声に、台所にいた母が飛んできた。
「指って！？」
「噛んでしもうた！　おえーっ！！」
居間で、のた打ち回る私。母が、皿に投げ捨てられたカレーパンを恐る恐る見る。

「・・・あんた」
「おええええっ！」
「ちゃんと見ぃや！」
「うええええっ！」
「ソーセージやんか！」
「・・・へ？」

母の手によって皿に取り出されたそれは・・・、ほんまにソーセージやった・・・。
無着色系のソーセージ1本が、カレーに染まって黄色っぽい肌色になってただけやった・・・。

「人騒がせな」と、冷たく台所に消える母。

ちゃうやん！　カレーパンにソーセージなんか入ってると思ってないやん！
そんなフェイント喰らったら、誰だってビックリするっちゅ～ねん！

世のパン屋さん、カレーパンはごく普通に作ってくれていいから。
ソーセージとかサービスしてくれなくていいからねっ！