大丈夫って?
不明瞭ながらも、母が「あご、痛い」と言ってから早や数ヶ月。それ以降は特に目立った快復はなく、意味不明の声を上げ続けている。多いのが、「あんびゃー」「いあー」って言葉。何が言いたいのか、何を意味するのか、さっぱり分からん^^;コミュニケーションを取るのは至難の業だが、何でも訓練が大事だろうから、私が行った時は必ず「1、2、3、4、5」と「あ、い、う、え、お」を言わせている。特に調子が悪くない限り、本人なりに発声しようと、私に続いて一所懸命口を動かす。当然のことながら、ちゃんと言えないし、どうしても声として出ない部分もある。けど、継続は力なり、だ。で、今日。1時間ほど病室にいて、そろそろ帰る時間になった。「お母さん、今日は帰るわ。また来るからね」手を握って私がそう言うと、母の口から言葉が漏れた。「だいじょうぶ」・・・・・・え!?勿論、不明瞭ではある。音としては、あいよううに近い。でも、確かにそう聞こえたのだ。「今、"大丈夫"って言うた?」すると、母は頷いて、もう一度"だいじょうぶ"と(らしき言葉を)言った。「凄いやん! 言葉がちょっとずつ戻ってきてるやん!?」母は何度も頷いた。体調によって反応の差が顕著なため、今日はベラボーに調子が良かったのかもしれない。でも、今まで不明瞭ながらも伝わる言葉といえば、私の名前と「痛い」「バイバイ」ぐらいだったのが、そこに「大丈夫」というのが加わることになったのだ。思ったことが声になり、それが相手に伝わるというのは、今の母にとって、この上ない喜びだろう。多くは望まないが、とにかく言葉さえ戻ってくれれば・・・。私の変わらぬ願いだ。