テーマ:携帯電話のこと(2530)
カテゴリ:ケータイ
ソフトバンク孫社長「MNPでは大変善戦していると思う」
ソフトバンクは10月8日、グループとしての中間決算を発表した。連結売上高は前年同期比5973億円増の1兆1201億円、営業利益は1081億円増の1125億円を達成。経常利益は761億円増加して626億円となり、大幅な増収増益となった。移動体通信事業(ソフトバンクモバイル)の売上げが上乗せされたことで売上高は1兆円を超え、グループの営業利益と経常利益は共に過去最高を記録した。 そんな順調な決算発表の席上で、孫正義社長が最も長い時間を割いたのは、やはりソフトバンクモバイルについての説明だった。登壇した孫氏は、開口一番番号ポータビリティ(MNP)制度の運用を開始した最初の週末にトラブルを起こし、ユーザーと他キャリアに迷惑をかけたことを謝罪。11月6日以降も、既存顧客の機種変更などの受け付けを早めに切り上げるなど、コントロールしながらの運用が続いているが、「大きな山場は超えた」という。また広告の表示についても、誤解を受けやすいという指摘を受けて変更したことを明らかにした。 ソフトバンクモバイルのオペレーションデータについては「携帯電話事業は着実に底を打って上向きになってきた。3Gの契約数が増えてきたことで、ARPU(1人あたりの月間平均収入)も第1四半期に底打ちしたと見ている。獲得手数料単価(販売奨励金)も落ち着き始めている」と孫氏。 実際、ソフトバンクモバイルの契約数は10月末で1533万人に上り、3G比率は3割を超えた。ARPUは5700円で、2005年度第2四半期と比べると230円減という値。しかし、2005年第4四半期に5600円、2006年第1四半期に5590円と減少傾向にあったものが、今期は5700円に回復している。解約率は1.27%にとどまり、新規獲得手数料単価も4万3800円と従来よりも安い水準だ。 また同氏は今回の会見でも、ソフトバンクがボーダフォンを買収して以来、常に会見の場で説明する「4つのコミットメント」の進展状況を報告した。4つのコミットメントとは、ソフトバンクモバイルが目標として掲げている 1. 3Gネットワークの増強 2. 3G端末の充実 3. コンテンツの強化 4. 営業体制/ブランドの強化 のことだ。 ●やや遅れも見える3Gネットワークの増強作業 2006年9月末の時点で、ソフトバンクモバイルの3G基地局数は2万4539局になった。2006年度第1四半期の決算発表で明らかにされた6月末の2万2771局から1768局が増えたことになる。9月末の人口カバー率は99.97%を達成した。 しかし、同社は2007年3月末までに基地局数を4万6000局まで増備するという目標を立てている。3カ月で1768局しか増えていないのでは、残り2万1000局あまりを半年で設置するという目標は、少々無理があるようにも思える。11月7日には、YOZANが首都圏に持つWiMAX/PHSの基地局3500局を共用することを発表したが、それでもまだ1万7000局以上が残る計算になる。 この点については「目標達成が数カ月遅れてもあまり攻めないでいただきたい」(孫氏)と、珍しく少々弱気の発言が出た。しかし「2~3カ月遅れてお叱りをいただくことになるかもしれないが、着実に毎月基地局の増大を目指している。(基地局を増やし、つながりにくさを解消するという)方針は一切変わっていない」と、あくまでも目標達成に向けて作業を進めていることを強調した。 この間の基地局数の拡大に伴って、ソフトバンクユーザーのネットワークの満足度も毎月徐々に指数が上がってきている。10月末のネットワーク満足度は、6月末と比べて9ポイント改善された。 「ボーダフォンを買収するまでは、ドコモの携帯を十数年使っていた。買収後にボーダフォンの携帯を使い始めたが、もしかしたら通じないところが多いのではないかと不安で、最初の2~3カ月はドコモの携帯と2台持ち歩いていた。しかし、ここ何カ月かはソフトバンクの携帯1台だけで日常を過ごしている。たまに郊外の温泉やゴルフ場に行ったときにつながりにくいこともあるが、日常生活には支障がないと感じている」(孫氏) さらに、自宅でのつながりにくさを解消するため、ホームアンテナを設置するサービスを実施していることも紹介した。設置は無料で、実際にホームアンテナを取り付けた顧客には非常に好評だという。 HSDPAを利用した高速通信も、10月末時点で3000局以上でサービスを開始しており、すでに約70%の人口カバー率を実現している。順次全国主要都市への展開を進め、「対応端末も続々と登場する」(孫氏)と期待を持たせた。 ●「薄さナンバーワン、品ぞろえもナンバーワン」 従来は、他のキャリアに比べて貧弱だといわれていた端末のラインアップも、9月28日に発表した13機種54色と2機種11色の“隠し球”を年内に発売し、過去最多のモデル数と色数で勝負することを改めてアピールした。隠し球端末も11月中に発売する。 「国内最薄の12.3ミリを実現した『706SC』や、スライド型3G端末としては世界最薄の『705SC』など、人気の『705SH SLIMIA』よりさらに薄型の端末を多数投入する。また業界最多の65色のカラーバリエーションをそろえ、さらに光学3倍ズーム付きの5メガピクセルカメラを搭載したハイエンド端末『910SH』も用意した。ボーダフォン時代は新機種といえば6機種前後、色数も十数色程度だったが、一気に強化した。これからは端末の品ぞろえが悪いといわれることがないよう頑張っていきたい」(孫氏) 同氏は他社が年内に投入する端末の数や、他社が展開するカラーバリエーションの機種数を円グラフで示し、昨年の同時期とは状況が異なることをアピールした。機種数は、2005年は7機種と携帯3キャリア中最少だったが、2006年中に発売するモデルは15機種で、auの12機種、ドコモの8機種より圧倒的に多い。カラーバリエーションの展開も、2005年は約半数がドコモの端末だったが、2006年はソフトバンクがほぼ半数を占める。 「ソフトバンクは薄さナンバーワン、品ぞろえもナンバーワン。ちなみに薄さというのは私の髪のことではありません」(孫氏) ●Yahoo!ケータイへのアクセスは正式運用以降急増 10月1日から、ポータルサイトを「ボーダフォンライブ!」から「Yahoo!ケータイ」に変更したが、その影響も簡単に紹介した。 10月に入り、検索クエリーの数は9月の約3倍になったという。ボーダフォンライブ!だった頃も一定数のアクセスはあり、検索なども行われていたが、これがYahoo!ケータイに変わったとたんに急激に増えた。またYahoo!Japanへのアクセスも、Yahoo!ケータイの導入によって1日あたりの閲覧数が6月末(Yahoo!Japanへのリンクを追加する前)の8倍以上に増えている。 「ボーダフォンライブ!は、携帯3キャリアの中でもコンテンツが最も少なかった。しかしYahoo!ケータイを利用すれば、株価や天気などの情報はほとんど無料で見られる。さらにPCと携帯で同じメールアドレス、アドレス帳、カレンダー、メッセンジャーなどが使えるよう、Yahoo!mocoaという新しいアプリなども用意した。Yahoo!BBで培った、ウイルス検索のようなASPサービスのノウハウを生かした『X01HT』向けのサービスなども展開している。インターネットの世界を携帯で楽しめる仕組みをこれからももっと提供していきたい」(孫氏) ●11月に入り、純増数は順調な伸び 営業体制については、10月28、29日に番号ポータビリティ手続きができなくなるというトラブルを起こしたことや、料金プランの宣伝方法で物議を醸したこともあって、滑り出しは順調とは言えなかった。しかし、11月も1週間を過ぎて状況は落ち着いてきた。 10月と11月1~7日までの純増数や番号ポータビリティを利用した転入出数は既報の通りだが、11月の最初の7日間では2万8000の純増となっており、この数字を見る限り、11月の純増数は従来よりも増えそうな勢いだ。ソフトバンクの新料金プランでは、2カ月の無料期間がある関係で、月初に契約が集中する傾向があるため、スタートの勢いがいいという事情はあるものの、新料金プランに魅力を感じているユーザーも少なくないのだろう。 KDDIが35万2600の純増を記録し、圧倒的な強さを見せたことについては「敬服している」と孫氏。「立ち上がりのシステムその他のごたごたで若干(マイナスの)影響があったが、トータルの数字としては、関心を持ち共鳴してくださったお客様が数多く来店してくださっているという部分もあり、11月に入っても純増基調で推移しているのは決して悪い状況ではない」 孫氏は「ぜひ毎月の純増を私どもと一緒に一喜一憂していただきたい」と話した。 ●難しい事業に対し、誠心誠意取り組み、真っ正面から改革に向かいたい 番号ポータビリティ開始当初、手続きにトラブルが発生したことについて孫氏は「売り逃しになったのは間違いない。ただどのくらいかというのは誰にも分からない」と話す。そして10月の契約者数が2万3800の純増になったことについても、「ほんの2週間前まで、MNPに関するあらゆるアンケート調査、メディアの評価、事前予測で、旧ボーダフォンは一番ユーザーを激減させるのではないか、草刈り場になるのではないかと予想されていた。しかし、結果的には純減ではなく純増を達成している。大変善戦しているのではないか」(孫氏)との見通しを示した。 トラブルを起こしたことについては「深く反省している」と話したが、「ほんの数カ月前(7月)まで、ボーダフォンジャパンのシステムは9つの地域に分散されていた。課金系のシステムなどが地域ごとにバラバラだった。これを1本化する必要があった。さらにMNPという誰も経験したことのない新しい課題が加わった。両方のシステム構築が同じ時期に重なったため、システム部門の担当者たちの重い課題となってしまった。他社からはもっと早い時期にMNPを開始したいという要望もあったが、他の2社に正直に現状を話し、ギリギリの10月23日まで開発作業や接続試験を行ってきた」と複雑だった舞台裏の事情を明かした。 直前になって新料金体系を発表したこと、度重なる料金施策の変更などがシステムの負荷増大に影響したのではないか、との見方については、「プライステーブル(料金表)を差し替えるだけなので、システムに大きな負荷をかけるようなことはなかったと思う」と否定した。 「ソフトバンクはもともとシステムの構築や運用を担ってきた会社。そのプライドにかけて、(ソフトバンクモバイルの)システムの運用を頑張っていきたい。今後は万全を尽くしていきたいが、仮に何か問題があっても基幹システムは継続して運営できるようにしていく」(孫氏) 最後に同氏は「稚拙な受け入れ態勢とか、広告の出し方の不手際とか、そういった面でご指摘を受け、あるいはご批判を受けたことは、我々自身が真摯に真っ正面から受け止める。一部でも問題があるなら、いち早くお客様のためにさらに改善する。ご批判は、我々が足りなかった部分を改めるために必要なプロセスだった。もちろん、改めるべきものがないのが一番いいのは理解している。トラブルを起こしたことも深く反省している。ただ、それはチャレンジ精神あっての、やや荒削りな部分だったと理解してほしい。難しい事業に対し、誠心誠意取り組み、真っ正面から改革に向かいたいと思っている」と意気込みを語った。 そういえばドコモはぜんぜん機種少ないね。 そろそろ703iが出る頃だけど例の機種がソフトバンクより薄くなかったら笑いものだね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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