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分太郎の映画日記

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2007.03.13
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 パリを舞台に、出会い、別れ、喜怒哀楽、そしてタイトル通り愛を描いた短編18編によるオムニバス映画。
 シャンテシネにて鑑賞(2007/3/11)。
 評価:☆☆~☆☆☆☆、(全体としては)☆☆☆

 個々の作品のタイトルは下記の通り(あらすじは省略)。
 「モンマルトル」「セーヌ河岸」「マレ地区」「チュイルリー」「16区から遠く離れて」「ショワジー門」「パスティーユ」「ヴィクトワール広場」「エッフェル塔」「モンソー公園」「デ・ザンファン・ルージュ地区」「お祭り広場」「ピガール」「マドレーヌ界隈」「ペール・ラシェーズ墓地」「フォブール・サン・ドニ」「カルチェラタン」「14区」

 個人的には、

◎味わいの深さでは、カウボーイの存在を信じる息子を1週間前に亡くした母親の姿を捉えた、諏訪敦彦監督の「ヴィクトワール広場」

◎印象深さでは、美貌のヴァンパイアと青年の交流?を描いた「マドレーヌ界隈」

◎洒落ていると思うのは、別居中の老人夫婦の離婚をめぐる会話劇「カルチェラタン」

◎一番気に入ったのは、チュイルリー駅のベンチに座るアメリかからの観光客が向かいのカップルを眺めていたためにトラブルに巻き込まれるコーエン兄弟の「チュイルリー」

あたり。まぁ18編もあるので、各人の好みで様々な作品が挙げられるだろう。

 この映画は、たぶん実際のパリを知っている人、住んでいたり滞在したことのある人と、そうでない人との間で、評価は大きく変わってくるのではないか。
 ちなみに私はパリは未体験。

 一つひとつの作品(それぞれ約5分)をみると、正直なところ、おぉこれはという佳作から、なんじゃこりゃという駄作まで、玉石混合という感は強いが、全体として生活者の視点から捉えたパリに対する愛情に溢れた映画になっているとは思う。
 もっとも、パリが映画発祥の地だからか、ヌーヴェルヴァーグを育んだ地だからか、映画人は何故かパリに強く惹き寄せられている(こだわっている)ように見え、その一つの結晶が本作であるわけだが、一般の人がそれほどまでに、観光とは無縁なパリ、映画の登場“人物”としてのパリに惹かれ(てい)るとは思えないが。

 この映画の成り立ちは、やはりパリを舞台にした佳作『アメリ』のプロデューサーの呼び掛けに始まり、世界各国から壮々たるメンバーが監督として参加している。
 コーエン兄弟やガス・ヴァン・サント(『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』など)、ウェス・クレイヴン(『エルム街の悪夢』など)、アレクサンダー・ペイン(『サイドウェイ』など)、トム・ティクヴァ(『ラン・ローラ・ラン』など)、アルフォンソ・キュアロ(『トゥモロー・ワールド』など)、ウォルター・サレス(『モーターサイクル・ダイアリーズ』など)、ヴィンチェンゾ・ナタリ(『CUBE』など)等、並んでいる名前をみるだけでくらくらしてくる。
 アニメ界からも、傑作『ベルヴィル・ランデブー』を世に送り出したシルヴァル・ショメが参加して、初の実写映画として、孤独なパントマイマーがその伴侶に出会うまでを描いた「エッフェル塔」を撮っている。
 日本からは諏訪敦彦が参加。はじめ誰それって思ったが、怪作『M/OTHER』の監督である。
 俳優もナタリー・ポートマンやイライジャ・ウッド、スティーヴ・ブシェミ、ウィレム・デフォー、ジュリエット・ビノシュ、ニック・ノルティ、ファニー・アルダン、リュディヴィーヌ・サニエ、そしてジーナ・ローランズ等、豪華メンバー。
 そういう意味では、非常に贅沢な作りの映画なので、映画好きな人にとってはそれだけで観る価値があるかもしれない(結果として賛否両論はあるだろうが)。

 映画として、たぶん一番大変だったのは全体の編集で、それぞれをどう並べて配置するかで、個々の作品のイメージを大きく変えてしまうだろうし、配列が違っていたら、もしかしたら☆5つ評価にも☆1つ評価にもなっていたようにも思う。
 編集を担当した者の言葉によれば、パズルのような組み合わせの中から81番目のバージョンを採用したという。

 映画好きにとっては、いろいろな意味で気になる一作である。

パリ、ジュテーム
【製作年】2006年、フランス・ドイツ
【配給】東宝東和
【製作】クローディー・オサール、エマニュエル・ベンビイ
【音楽】ピエール・アデノ

公式サイト
http://www.pjt-movie.jp/





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最終更新日  2007.03.13 14:28:15
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