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分太郎の映画日記

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2007.03.26
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 究極の女性匂いフェチの話。
 
 監督が『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァだし、(監督が作曲した)音楽をサー・ラトル指揮ベルリン・フィルが演奏とあれば、観に行かないわけにはいかない(2007/3/5、ワーナーマイカル板橋にて鑑賞)。

 『パフューム -ある人殺しの物語-』 評価:☆☆☆


【あらすじ】
 18世紀のパリ。活気と悪臭に満ちた魚市場で産み落とされたグルヌイユは、何キロも先の匂いを嗅ぎ分けられる驚異的な嗅覚の持ち主。育児所から皮なめし職人に売り払われ、過酷な仕事を続けていた。
 青年になったグルヌイユ(ベン・ウィショー)は、パリの街中への配達を命じられる。そこは様々な香りと匂いに満ちていた。そして、ある赤毛の少女が発する至福の香りに出会う。しかし、夢中になるあまり彼女を殺してしまい、死と共に香りも消えてしまうことを知って絶望する。香りを永遠にとどめておく方法を探るため、香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りし、蒸留法を教わるが、それでは“生き物”の匂いを取り出せないことを知ったグルヌイユは、高度な香りの技術をもつという職人の街グラースへと旅立つ。その途中、初めて自分に体臭がないことに気付き、自分が特別な存在であることを悟る。
 グラースの街の入り口で、再びあの“香り”に再会する。香りの主は、裕福な商人リシ(アラン・リックマン)の娘、豊かな赤毛の美少女ローラ(レイチェル・ハード=ウッド)。脂に香りを移す冷浸法を習得した彼は、究極の香水創りに着手する。そして、その日から若く美しい娘が、次々に殺されはじめた……。


 たぶん五感の中で嗅覚は、その体験を他人と共有するのがいちばん難しいのではないかと思う。
 視覚や聴覚は、映画館やコンサート会場のように、同時に大多数の者が席を同じくして体験する機会は豊富なので、共通の認識になりやすいし、味覚であれば、匂いのように急激に時間と共に失われることは少ないので、こちらも感覚を共有しやすい(感じているものが本当に同じなのかどうかは確かめようもないが)。
 それに対して、匂いを感じるということはごく一瞬、かなり限られた場所・範囲でのことが多く、匂い・香りの記憶(視覚的・聴覚的なイメージとの結び付き)もかなり私的なものである。しかも、感覚の程度を測定することが他の感覚器官よりも難しく、一度に大多数の人が同じ匂いをかぐ、というのはかなり限定的な体験になるだろう。

 ということで、嗅覚、匂い・香りが主題のこの映画、いったいどのように処理をしているのかと興味津々ではあったのだが……。

 結果は、なるほど工夫はしているが、どうも成功しているとは言い難い。
 花や樹木、動物や魚、料理、また女性(少女)の肌や髪や汗など、香りを放つその源にカメラが迫っていくのだが、。視覚→嗅覚の転換を、クローズアップと多数のショットの切り返しだけで表現するのは、やはり無理がある。
 また、匂いを感じているときに、主人公の顔をアップにしているわけだが、彼が感じているであろう“香り”の違いが表情の演技で描き分けられておらず、単に「お鼻ピクピク」で終わってしまっている感じがした。

 もちろん先に書いたように、特に視覚と嗅覚の結び付きは非常に個人的なものだから、リンゴの映像を見てその香りを思い浮かべる人とそうでない人とがいるだろうし、たとえば冒頭の魚市場のシーンで臭気ぷんぷん感じて吐気を覚えた人もいたかもしれない(そういう人には、この映画は一種大成功ともいえる)。
 しかし、だからこそ、その個人差を打ち破って共感させてくれる何かが欲しかったように思う。具体的にどうすればよいのか、私も分からないが……。

 話のスリリングさでも、本来ならば娘たちが殺されていく後半の方にドキドキするような緊迫感がほしかった。
 とくに、殺される娘たち(と街の人々)がちょっと無用心すぎる。はじめの頃と誤認逮捕の直後を除き、もっと彼女たち(や他の住民たち)に警戒させて、娘を捕まえるのが非常に困難な中を目的のために苦労して捕えるという展開で、スリリングさを観客に感じさせないと、そうして創られた究極の香水によって引き起こされたクライマックスの一大乱行シーンが、真に迫ったものに感じられなくなってしまう。
 一番ハラハラドキドキしたのは、最初の赤毛の少女のくだりと、蒸留法を学んでいろいろなものを蒸留しようとするところかな。
 それと、グルヌイユに気づいたローラは、なぜ悲鳴を上げなかったのだろう?

 それにしても、クライマックスのシーンに映倫が何のレイティング(R-15なりR-18なり)をつけなかったのは、いかがなものか。1組のセックスシーンを描くことはチェックするが、1000組のそれは(無条件で)OKというのは、「1人を殺せば殺人犯で10000人殺せば英雄」というのと同じ論理で好きではない。
 個人的には、クライマックスは映像的にも優れているとは全然思えなかった(チャレンジングなのは認めるにしても)。
 香りの拡がり方も変だったし。匂い物質の動きは空気の流れに強く影響されるので、(全くの無風状態でなければ)同心円的にはけっして拡がらないぞ。

 と、クレームばかり書いてきたが、全体的な雰囲気はさほど悪くはない(除 クライマックスの一大乱交シーン)。とくに前半の市場の雑踏やパリの街など、美術はかなり頑張っていて、それを観るだけでもこの映画に足を運ぶ価値はあるだろう。

 また音楽もさすがサー・サイモン・ラトル&ベルリン・フィルというべきか。堪能させてもらった。ただ、ここまで超豪華版でなくても良かったかも知れない(そこにかける予算を別なところに……)。


パフューム -ある人殺しの物語-

【製作年】2006年、ドイツ
【配給】ギャガ・コミュニケーションズ
【監督・共同脚本・音楽】トム・ティクヴァ
【原作】パトリック・ジュースキント
【脚本】ベルント・アイヒンガー、アンドリュー・バーキン
【撮影】フランク・ギルーベ
【演奏】ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(サー・サイモン・ラトル指揮)
【出演】ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン ほか

公式サイト
http://perfume.gyao.jp/





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最終更新日  2007.03.26 10:00:53
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