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カテゴリ:日本映画(2007)
夢枕獏原作のスーパー伝奇というか時代SFアクションの映画化。ワーナーマイカル・シネマズ板橋にて鑑賞(2007/4/8)。
『大帝の剣』 評価:☆☆ 原作は、はるか昔に角川書店の「野生時代」で連載されていたが、本誌の休刊(現在は復活している)に伴って長らく中断していた。それを、奇特な編集者(偉い!)の説得で「ファミ通」で改めて連載が再開された。そのときの説得材料(というか夢枕氏からのいわば条件)の一つが“映画化”だったらしい(エンターブレイン版『大帝の剣3』より)。 うーん、中断していた連載が再会してくれたことは大変に嬉しいが、この映像化はちょっと微妙。私はB級映画ファンなので、この手の作りは嫌いではないのだが、原作のファンでもある立場からすると、仕上がりが軽すぎというべきか。いや、映画化したこと自体、凄いとは思うのだが。 監督が堤幸彦で主演が阿部寛というと『TRICK』コンビだが、本作のテイストもまったく同じ。 笑い(原作には笑いの要素はあまり無い)の緩さも、画の作り方というか美術・衣裳などもとってもチープな(決して金がかかっていないわけではなさそうだが)雰囲気も『TRICK』と同じ。『TRICK』の世界を江戸時代に移してみました、という作り(ならば『大帝の剣』である必要はないのだけど)。 もしかして、長谷川京子の役はたぶん仲間由紀恵にオファーして断られたのではないかと邪推してしまう。 話的には、せっかく、とっておきのおもちゃ箱のように、SF的なガジェットや伝奇的な要素をあれもこれもと詰め込んでいるのだから、もっと徹底して弾けてしまった方が、傑作になり得たのではないかと思う。 キャストはかなり豪華。そして皆さん、熱演(というか怪演)している。その辺を楽しむ映画かな。 ナレーションが江守徹というのは、原作からするとどっしり感が卓見のように思っていたが、映画の世界観・テイストとは違っていて、その外し具合をもスタッフは狙っていたのかもしれない。 個人的には、謎の美少女剣士役の黒木メイサにもっと登場して活躍して欲しかった(その方がもっと映画が引き締まったような……)。 それにしても阿部寛はここのところ絶好調ですね。 映画は(旧新書版で)1巻分だけなので、中途半端な感じは否めない。といって、シリーズ化は難しいだろうなぁ。私の観たレイトショーは予想したよりは人が入っていたが、あまりヒットの予感はしないし(というか、これでヒットされたら困るような……)。 書籍のイラストを描いている天野嘉孝のキャラクターデザインでアニメ化したら、結構面白いと思うのだが、さて。 予告編からして軽いノリで期待はしていなかったので、別に損した気分ではないが、堤幸彦のファン意外にはちょっと薦めにくい作品。あ、ちょっと変な映像を見たいという人にはよいかもしれない。 『大帝の剣』 【製作年】2007年、日本 【配給】東映 【監督】堤 幸彦 【原作】夢枕 獏 【脚本】天沢 彰 【撮影】唐沢 悟 【音楽】見岳 章 【出演】阿部寛、長谷川京子、宮藤官九郎、黒木メイサ、竹内力、津川雅彦、遠藤憲一、杉本彩、大倉孝二、前田愛、本田博太郎、江守徹(語り手) ほか 公式サイト http://www.taitei.jp/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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