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カテゴリ:外国映画(ヨーロッパ)
エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンが各種映画賞の主演女優賞を総なめにしたことで話題の本作。
日比谷のシャンテ・シネ1にて公開初日に鑑賞。 『クィーン』 評価:☆☆☆☆
個人的にもダイアナの死は結構、衝撃的であった。といって別に彼女に特別な関心があったわけではなく、パパラッチによる追っ掛けが原因という点にだ。直接的には彼等が事故原因とはいえ、間接的には、興味本意の多くの人々がいなければパパラッチ自体が存在しないという意味で(そんな単純なものでもないが)、一般大衆が引き起こした犯罪、と呼んでも間違いではないのではなかろうか。 というようなことはさておき、話題のヘレン・ミレン、確かに悩める女王を非常に好演していたと思う。 そもそも実際の女王がどのような人なのか不明なので、本当の姿かどうか分からないが、伝統的な君主のあり方と国民感情との齟齬や、積もり積もったダイアナとの確執の過去などの間で苦悩する姿は見事で、各賞の受賞も納得。 とくに、車が立ち往生した川で、感情が爆発した彼女の前に鹿が現れて…のシーンは良かった。 が、それ以上に私が凄いと思ったのは、ダイアナ急逝の4か月前に首相に就任したばかりのトニー・ブレアを演じたマイケル・シーン。彼の演技があったからこそヘレンの演技が輝いたものになったのではなかろうか。 久しぶりに政権を労働党が担ったこともあり、新しいイギリスをつくろうと意気軒昂の若きブレア首相と、伝統的な君主制度を守っていかなければならないエリザベス女王との間のせめぎあいと歩み寄りの過程は、この映画の大きな見所(の一つ)だろう。そして、ラストのまるで親子のような二人の姿は、とっても印象的だ。 この二人のコンビ、やりとりは完璧かもしれない。 首相と女王に関連?して、女王に嫉妬しているようにしか思えないブレアの妻役のヘレン・マックロリーも良かったかな。 監督は、最近では『ヘンダーソン夫人の贈り物』が公開されたスティーヴン・フリアーズ。脚本は『ラストキング・オブ・スコットランド』のピーター・モーガン。 二人とも、こういう実話に題材をとった作品で実力を発揮するタイプのような感じだが、さて。 それにしても、こういう作品が作られて公開される英国は、ソクーロフ監督『太陽』の公開で揉める?ようなどこぞの国とは違って、きちんと言論の自由が保証されているなとか思ったり……。 政治的や歴史的な視点はさておき、突然に混乱と窮地に立たされた人間の苦悩する有り様を描ききった秀作として、万人にお薦めしたい。 『クィーン』 The Queen 【製作年】2006年、イギリス=フランス=イタリア 【配給】エイペックス・エンタテイメント 【監督】スティーヴン・フリアーズ 【脚本】ピーター・モーガン 【撮影】アフォンソ・ビアト ASC ABC 【音楽】アレクサンドル・デプラ 【出演】ヘレン・ミレン(エリザベス2世)、マイケル・シーン(ブレア首相)、ジェイムズ・クロムウェル(フィリップ殿下)、ヘレン・マックロリー(ブレア夫人)、アレックス・ジェニングス(チャールズ皇太子)、ロジャー・アラム(ロビン・ジャンブリン:女王の側近)、シルヴィア・シムズ(皇太后)、ティム・マクマラン(スティーヴン・ランポート:ブレアの側近) ほか 公式サイト http://www.queen-movie.jp/ CDサウンドトラック お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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