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カテゴリ:外国映画(アメリカ)
ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の、1980年代の香りが色濃く漂うラブ・コメディ。監督は、ヒュー主演の『トゥー・ウィーク・ノーティス』で長編デビューしたマーク・ローレンス。
『ラブソングができるまで』 評価:☆☆☆☆ ロマンティック・コメディの王道を行くような作品。 映画の冒頭からして、いきなりツボにはまる凄い展開。 1980年代に爆発的な人気を博したという設定のバンド、PoP!のミュージック・クリップのシーンで始まるのだが、これがデュラン・デュランとワム!を足して2で割ったようなビデオで、その時代に青春を過ごした者としては、そこはかとない懐かしさを感じるとともに、大爆笑ものだった。 とくに、20歳代を装って若作りしたヒュー・グラントのノリノリの様子は最高。 この冒頭場面だけで、映画料金の元を取ったと思えるほど、笑わしてもらった。 それにしても、こういうのが当時はかっこよかったんだよな。 今見ると(思い出すと)、単にダサくて恥ずかしいだけにしか思えないのだけれど(こうして、人は“大人”になっていく……のか?)。 とはいえ、映画そのものは、けっして80年代の音楽シーンを知らなくても、そこはそれマーク・ローレンス作品、十分に楽しめる作りになっている(と思う。10代や20代前半の人に聞かないと実際のところは分からないけれど)。 それはたぶん、当時の音楽をあざ笑っているのではなく、非常に愛着とある種の敬意をもってユーモアのネタにしているためで、それゆえ世代を越えて通じるのではないかと思う。 おかしさ、ということではヒュー・グラント。 折りにふれて踊る場面での、彼の腰ふりダンスは、それだけでもこの映画を見る価値があると思わせるほど面白い(腰が悪いという設定なのに)。騙されたと思って是非ご鑑賞ください。 ヒューの役所は、80年代にビッグだったポップスター。いまは、同窓会などに呼ばれて、昔を懐かしむ“中年おばさん”を相手に歌うことで暮らしているが、落ちぶれていても惨めさを感じさせない役作りは、ヒュー・グラントの真骨頂だと思う。 ヒューの相手役のドリュー・バリモアも、前半は、かつての失恋が原因で才能がありながら言葉を紡ぎだせなくなっている姿を、後半は、自分の生み出した作品へのプライドから妥協しない女を好演。さすが(B級っぽい作品が多いが)新・ラブコメの女王だけのことはある。 そういえば、彼女のラブコメでの出世作は、1999年の『ウェディング・シンガー』だと思うが(『エバー・アフター』は1998年の作品だが、日本での公開は『ウェディング…』の後だったように思う)、この作品も80年代が舞台で、80年代当時のヒットナンバーに彩られたものだった。 個人的には、以前は大人気だったのに今は落ち目、というアレックスの設定に、かつてのドリューが重なってしまう。 スピルバーグ監督の『E.T.』と言えば、1982年の超大ヒット作品。そこに主人公の妹役で出演していたのがドリュー。この作品で一躍有名になるものの、2年後の『ペーパー・ファミリー』以降は急降下、麻薬やアルコール漬けになったという(まだ10代前半ではないか!)。 私が『E.T.』の少女が出ていると再び認識した映画は、1996年の『スクリーム』(その前の『バットマン フォーエバー』では気が付かなかった(^_^;))。 以降、日本で公開された彼女の出演作品はたいてい見ていると思うが、「かつての名子役、大人になったら、ただの人」が大半の中で、よくぞ復活したものと思う(現在の名子役では、ダコタ・ファニングがそろそろ難しい時期か。上手く乗り越えてほしいところだが、さて)。 この『ラブソングができるまで』のマイナス点は、一番の重要ポイントと思われる、二人での曲作りの過程が、ちょっとあっけなかったところ。 そこまでが話の前半であったりするわけだから、致し方ない気もするが、もう一工夫、もう一展開ほしかった。 歌姫役のヘイリー・べネットは、本作が映画デビューのシンガー・ソングライターということだが、けっこう気にいったかも。 こういうエキセントリックの役ではなく、普通のお嬢さんを演じた作品を見てみたい。案外ラブコメがはまるのかもしれない。 ファースト・アルバムを準備中とのことなので、要チェックかな。 大傑作とまでは呼べないものの、見終わった後に元気をくれるラブコメとして、とくに1980年代に青春を過ごした人たちにお薦めしたい(30歳後半から40歳代は一番映画を見ない世代かもしれない?)。 【あらすじ】 1980年代に爆発的な人気を博した5人組バンド“PoP”。ダブルボーカルの一人コリンがバンド解散後も大活躍しているのに比べ、もう一人のボーカルだったアレックスは今ではすっかり過去のスター。マネージャーで友人のクリスがもってくる、80年代を懐かしむ元ギャルたちのイベントも減ってくる状態。 ある日、アレックスにカムバックのチャンスが訪れる。若者に絶大な人気を誇る歌姫のコーラ・コーマンから、新曲「愛に戻る道(Way Back into Love)」の作詞・作曲のオファーがあったのだ。ただし、コンサートが2週間後に迫っているため、期間はわずか3日しかなかった。 曲を書くのは10年ぶり、しかも昔から作詞の才能はゼロ。困り果てている時、アレックスのアパートに、友人の代理でと鉢植えの世話にソフィーが訪れてきた。そして、彼女がつぶやいたフレーズがアレックスの心に響いた。 ソフィーは元々作家志望だったが、創作の師匠で恋人であったスローンに手酷くふられ、おまけにスローンが書いたベストセラー小説が彼女をモデルにしていて、しかも性悪女として描かれていることでひどく傷つき、何も書けなくなっていた。 アレックスはソフィーに、一緒に曲を創ってほしいと申し出るが、二度と傷つきたくないソフィーはきっぱりと断ってしまう。 彼女の才能を信じるアレックスは、それでも諦めずに、かつてPoP!の追っかけだった姉のローンダをも巻き込んで、ソフィーの心を動かしていく。そして、二人のラブソング作りが始まった……。 『ラブソングができるまで』 MUSIC & LYRICS 【製作年】2007年、アメリカ 【配給】ワーナーブラザーズ映画 【監督・脚本】マーク・ローレンス 【撮影】ハビエル・ペレズ・グローベット 【音楽】アダム・シュレシンジャー 【出演】ヒュー・グラント(アレックス)、ドリュー・バリモア(ソフィー)、ブラッド・ギャレット(クリス:アレックスのマネージャー)、クリステン・ジョンストン(ローンダ:ソフィーの姉)、ヘイリー・ベネット(コーラ・コーマン:歌姫)、キャンベル・スコット(スローン:ソフィーの元恋人で作家) ほか 公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/musicandlyrics/
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