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分太郎の映画日記

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2007.04.29
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カテゴリ:日本映画(2007)
 成海璃子と松山ケンイチという旬の俳優二人の主演による、ピアニスト志望の音楽大学生と天才ピアノ少女との交流を描いた作品。
 さそうあきらによる同名のコミックを映画化したもので、日本では数少ないクラシック音楽をテーマにした佳作。
 ニッショーホールでの試写会(2007/3/19)にて鑑賞。

 『神童』 評価:☆☆☆

 始めに役者について触れておくと、主演の二人は素晴らしかった。

 松山ケンイチが演じるワオは、まさにマンガから抜け出したように原作そのもののイメージ。
 出世作?『デスノート』のL役もそっくりとの印象があったので、カメレオン俳優とでも言うべきか(『蒼き狼』は出番が少なかったので、まぁ何とも評価はできないが)。

 そして何と言っても成海璃子がすごかった。
 原作の小学校5年生から中学生に設定が変更されているので、原作と比較して云々は言えないが、音楽の本当の楽しさや、人とのつながりの大切さに気が付いていく主人公を圧倒的な演技力で好演。
 とくにクライマックスのモーツァルトのピアノ協奏曲第20番は圧巻(私はこの曲は好きなので、CDも20枚以上持っていたりする)。実際の音は、ウィーン在住の12歳の“神童”和久井冬美嬢が吹き替えたようだが、その音と絵(指の動き)がぴたりと合っていて、これは本当に見事だ。
 かつての日本映画では、クラシック音楽の描写がいい加減で、楽器の運指と音があっていないのは当たり前、“指揮者”はとてもそれでは演奏できない無様な姿を平気で晒していたりする(名作『砂の器』の加藤剛は酷かった)。
 いくら成海璃子自身が小さいときからピアノを習っていたとはいえ、よほどの猛特訓がなければ、ここまでの演奏の姿は演じられないだろう。そして、うたがどんどんと音楽に没入していって、父親の死や母親の束縛から解放・昇華していく有り様を、見事に表現しきっていたと思う。

【5/1追記】4/28から公開された成海璃子主演の映画『あしたの私のつくり方』を見たが、こちらでの演技もめちゃくちゃ素晴らしかった。(映画の感想は後日)


 そのように主人公二人が絶讚すべき演技であるだけに、映画全体から音楽が響いてこないのは、本当に残念だ。
 要のシーンで音楽は流れているものの、豊潤にクラシックを聴いた気がしないのだ。
 原作のコミックは当然2次元の視覚情報なわけだが、読んでいる間、頭の中に音楽が次々と響いてくる(気がする)のに対して、実際に本物の音を使うことが可能な映画で、音楽が響いてくるように思えないのは、もったいないとしか言いようがない。

 その一番の原因は、やはり神童としてのうたの描き方不足だろう。

 要所要所でうたの演奏シーンはあるものの、逆にそこしかピアノシーンはないわけで、もっと何気に彼女にピアノをもっと弾かせないと(とくに前半で)、天才少女が天才である所以が観客に感じられない。
 例えば、ワオの練習に「もっとバーっといって…」と言うシーンでは、そのセリフの後にうたが実演を見せる場面を加えるとか、いろいろと工夫の余地はあったはずだ。
 そこがないから、ワオの試験で、彼がベートーヴェンの「熱情」をうたが乗り移ったかのように激しく演奏する場面も、説得力がなく、そらぞらしく見えてしまう。

 原作との違いということでは、うたの学校での孤立を描くのに、いじめ等の描写がかなりリアルになっていたり、うたの母親はコミカルにヒステリーだったのが、シリアスに苦悩していたり、映画ならではの現実的な描写になっている。
 原作との一番の違いは、うたの父親だろう。原作ではほとんど登場しない父親が、映画では回想シーンのみの出演だが、非常に重要なキーパーソンになっていて、これは話の筋を通すために悪くない改変だと思う。
 ラストのほんのりとした感動の根もそこにあるだろう。

 あと個人的には、BGMとしての音楽はまったく不要で、邪魔をしているようにしか思えなかった。

 本作のようにクラシック音楽を中心に据えた映画はたぶん日本では初めてだろうし、何より主演二人の演技は素晴らしいので、一見の価値のある映画だと思う。


【あらすじ】
 昼下がりの公園の池。水中に投げ込まれた人形を縁に、うたとワオは出会う。
 音楽大学を目指す浪人生の菊名和音(通称:ワオ)は、周囲からは「下手くそ」と言われながら、ピアノの練習に明け暮れていた。次の試験に落ちたなら、ピアニストへの夢を諦めて青果店をつがねばならない。
 一方、飛び抜けたピアノの才能を持つ中学生の成瀬うたは、神童と呼ばれ育ってきたが、球技は禁止、常に手袋着用の窮屈な日常に反抗して、レッスンもさぼりがち、学校でも孤立していた。父の不在や母との確執に、ピアノ自体を迷っていた。
 ある日、商店街の青果店の2階から聞こえてきたピアノの音に足を止めたうたは、部屋に上がりこむと、メンデルスゾーンの「春の歌」を弾きはじめた。それはワオが聴いたことのない、素晴らしい音色だった。なんとなくワオのことが気に入ったうたは、青果店に通い始め、ワオも勝ち気なうたの態度に呆れつつ、次第に一緒に過ごす時間を楽しむようになる。
 そんな中、うたが自分の聴覚に違和感を覚えた深夜、うたはワオを誘いだして、以前に住んでいた屋敷に忍び込み、父親のグランドピアノで幼い頃に父親が弾いてくれた曲をワオに聴かせるのだった。
 音楽大学の受験の日がやってきた。緊張のため一旦は試験会場から逃げ出したワオだが、外で待ち構えていたうたに励まされ、まるでうたが乗り移ったかのような激しさでベートーヴェンの「熱情」を弾いて、試験官を圧倒し、首席で入学を果たす。
 が、授業が始まると試験が嘘のようにワオの演奏はおぼつかなく、高名な小宮山教授に見放されるなか、ワオを拾ったのは、一見やる気のなさげな御子柴教授だった。御子柴はかつてうたの父親と同僚で、行方不明になった際にその場に居あわせていた。ワオはまた、そこで伴奏者を探していた声楽科の賀茂川香音に出会う。
 一方のうたは、相変わらず母親と衝突していた。経済的に困窮していた母親は、屋敷にあったピアノを売り払ってしまった。うたは、幼い頃に父親と行った“ピアノの墓場”を思い出す。うたの耳なりやめまいは激しくなっていくが、誰にも相談できずに、図書室で一人静かに泣くのだった。そして、うってかわったように練習に没頭するうた。
 世界的なピアノの巨匠リヒテンシュタインが来日することになり、うたのピアノの先生である長崎が、彼の弾くピアノの調律を任されることになる。音楽教室の試弾室でピアノを演奏しているうたの音色を聞き付けたリヒテンシュタインは、うたに一番良い音を出すピアノを選ばせた。
 コンサート当日、体調不良を口実に演奏の中止を訴えるとリヒテンシュタインは、代理演奏者としてうたを指名する。曲は、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番。まったくの初見の曲に、失敗して傷がつくことを恐れた母親は猛反対するが、うたはしばらく楽譜と対峙すると、毅然と舞台に向かう。心配して駆け付けてきたワオに「私は音楽だから」と呟いて。
 そしてコンサートが始まった……。


神童

【製作年】2007年、日本
【配給】ビターズ・エンド
【監督】萩生田宏治
【原作】さそうあきら
【脚本】向井康介
【撮影】池内義浩
【音楽】ハトリ・ミホ
【出演】成海璃子(成瀬うた)、松山ケンイチ(菊名和音)、手塚理美(成瀬美香:うたの母)、西島秀俊(成瀬光一郎:うたの父)、甲本雅裕(長崎和夫:うたのピアノの先生)、串田和美(御子柴教授)、貫地谷しほり(賀茂川香音:和音の彼女)、吉田日出子(桂教授)、柄本明(菊名久:和音の父) ほか

公式サイト
http://www.shindo-movie.jp/


CDオリジナル
サウンドトラック

原作コミック 1巻

原作コミック 2巻

原作コミック 3巻





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最終更新日  2007.05.01 12:20:01
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