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カテゴリ:外国映画(アメリカ)
『リング』シリーズの原作者・鈴木光司による短編小説「夢の島クルーズ」を映画化したもので、アメリカのホラー監督の競作作品『マスターズ・オブ・ホラー」』第2シーズンの中の一作(の映画バージョン)。
なので、スタッフ・キャストのほとんどが日本人ながらも、れっきとしたハリウッド映画で、東京湾を舞台にしながらも、セリフのほとんどは英語で日本語の字幕付きという、今までの日本映画にはないテイスト?を持ったホラー映画である。 出演は、ヒロインに幅広い役柄をこなす木村佳乃、その夫に海外作品への出演も多い石橋凌、ヒロインを愛する弁護士に新鋭ダニエル・ギリス。監督は『リング0』の鶴田法男。 『ドリーム・クルーズ』 評価:☆☆☆ 【あらすじ】 すでに前宣伝で明かされているが、『リング』の貞子、『呪怨』の伽椰子にあたるのが、失踪した前妻の直美で、苦悶と憎悪に満ちた怖ろしい姿でヒロインらに迫っていく。 ただ、貞子や伽椰子を越える新たな女性怨霊が創造できたかというと、ちょっと微妙。 確かに、あり得ない角度に曲がった頭部や、緑色の燐光に包まれた姿など、演じた蜷川みほとスタッフは頑張っていたと思うが、クルーザーの脇に佇む姿は貞子の、船底を這いずる姿は伽椰子の、それぞれ二番煎じな感じは否めない。せめて最後の海中のシーンで何か工夫があればよかったのだが。 また、アメリカ人弁護士の幼かった弟ショーンの亡霊が出てくるのも、『呪怨』での“トシオ”を想起させてしまい(登場の意味合いは大きく異なるものの)、それもナオミのインパクトを削いでしまっていたように感じてしまった。 とはいえ、キャラクターとして貞子や伽椰子が凄すぎるのであって、怨霊としては結構 魅力?的であったし、話の恐さ・怖さとしては『リング』『呪怨』に匹敵する感じではあった。 個人的には、とくに前日に、不在性の恐怖をメインにした『アパートメント』を見たばかりなので、怨霊による即物的な恐怖は、充分に訴えてくるものを感じた。 ヒロインの木村佳乃は、目で恐怖を訴える演技が素晴らしく、また大人の女性の魅力満開という感じではあったが、『蝉しぐれ』のように、和服の方がより艶っぽく感じるのだがなぁ(単に私の好みだが)。 アメリカ人弁護士役のギリスは、パンフレットを見るまで、『スパイダーマン2』でメリー・ジェーン(MJ)の婚約者役の人だとは気が付かなかった。 しかし、何と言っても、石橋凌の演技が凄い。嫉妬心をおびた狂気がにじみ出るような様は、正直ナオミよりも背筋が寒くなるものを感じた。もっと他のホラー映画でも是非とも見てみたい俳優だ。 原作の「夢の島クルーズ」は、すでにテレビドラマ(「幻想ミッドナイト」の一エピソード)として1997年に飯田譲治監督によって映像化されているので、機会があれば(比較のためにも)見てみたいものだと思う。 ホラーは好みの違いが大きいので万人にお薦めとは言いがたいが、ホラー映画ファンであれば一見の価値がある映画だと思う(ま映画館でなくても良いとは思うが)。 『ドリーム・クルーズ』 DREAM CRUISE 【製作年】2007年、アメリカ 【配給】角川映画 【監督】鶴田法男 【原作】鈴木光司(「夢の島クルーズ」) 【脚本】高山直也、鶴田法男 【撮影】さのてつろう(J.S.C) 【音楽】コージー・エンドウ・Jr. 【出演】木村佳乃、ダニエル・ギリス、蜷川みほ、石橋凌 ほか 公式サイト http://www.dream-cruise.jp/
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