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分太郎の映画日記

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2007.06.23
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カテゴリ:日本映画(2007)
 田中麗奈、麻生久美子のダブル主演による、広島原爆をテーマにした傑作。原作は、こうの史代の同名のマンガ。
 イマジカ東京映像センター 第二試写室で開催されたブロガー試写会(2007/6/7)にて鑑賞。

 『夕凪の街 桜の国』 評価:☆☆☆☆☆

 とても良い映画だ。生きることの大切さと喜びや、平和への願いがしみじみと深く胸に染み込んでくる。
 地味ではあるが、素直により多くの人に見てほしい作品だ。とくに、私自信も“戦争を直接には知らない”世代だが、より若い人にこそ是非とも見てほしいと思う。

 映画は大きく二つのパートに分かれる。
 広島の原爆投下(1945年8月6日)から13年後の広島に暮らす被爆者の女性・平野皆実(みなみ)を描いた「夕凪の街」と、現代に生きるその姪である石川七波(ななみ)の物語「桜の国」だ。

 シリアス調の前者に比べて、後者はややコミカルだが、そこがよりしみじみとした感動を生んでいて感動的。
 昨今、黒木和雄監督を除くと、原爆をテーマにした映画はほとんど作られていないように思うが、『黒い雨』などの名作に並んで、また一つ傑作が生まれた。

 まだ未見の方は、私の感想を読むよりも、一刻も早く映画館に足を運んで鑑賞することを強くお薦めしたい。

【追記】8/11にシネリーブル池袋で改めて鑑賞。試写会で見たときよりも、涙が止まらなかった。



 以下はまぁ蛇足。

 本作はたいへんに良い映画ではあるが、原作に惚れ込んでいる立場の者としては、若干のすっきりしなさを感じたのも事実。
 すっきりしなさというより、表現するメディアの違いを再認識した、と言うべきかな。

 マンガにはマンガならではの表現手段があり、それが感動を呼ぶ場面が原作には結構ある。
 例えば、「夕凪の街」で言えば、川面の場面(コマ)や、白コマの使い方(ネタバレになるので、詳しくは書きませんが)。
 とくに前者は、映画でどのように表現するのか期待していただけに、省略されてしまったのは残念(まぁ予算を考えれば仕方のないところではあるが)。

 マンガは、紙媒体であるが故に、気になった伏線はすぐに前に戻って確認できる利点があるが、映画ではそれが難しいため、割と直接的な映画きかたになるのも、ちょっとマイナスだったかな。
 例えば「桜の国」で、父親が川沿いの木下である男性と会うシーンとか。マンガでは何度か見直して初めて「ああ、そうだったのか」と気がついて感動した覚えがあるが、そこが直截的だったりすると、少し醒めてしまう。

 逆に、映画にしかできないだろう直截的な表現を使って、原爆投下直後のシーンを描いて欲しかった気はする。マンガだと、どんなにきつい描写でも抽象的になってしまって(それが利点でもあるが)、原爆の恐ろしさ、悲惨さが減じてしまう。
 まぁ、ある“絵”を使って上手く逃げていた気はするが、皆実が妹を負ぶさって歩く場面は、作り物すぎてちょっと興ざめ。ここが厳しくないので、皆実の葛藤が鋭く観客に迫ってこない気がしたし、そここそ映画にしかできない表現ではなかったろうか。
 もっとも、監督のインタビューを読むと、なかなか製作会社も決まらないような感じで、予算的にはかなり厳しかったと思うので、“絵”の使用もやむなしだなと納得はするのだが。
 【追記】改めて鑑賞すると、結構写真が使われていたのね。


 と批判を並べたところで、映画ならではの良かったところを挙げると。

 「桜の国」の二人の追跡劇は、映画の方が断然に面白い(時間というか長さの問題もあるけど)。二人の心情が素直に伝わってくる。

 また、原爆が「落ちた」という弟の発言を「落とされた」と言い換えるシーンも原作にないものだが、これはものすごく印象的(このために余計にアメリカで公開できなくなってしまった気はするが)。

 ラスト近くで、現在と過去の融合とうか七波を使った描写は非常に感動的だった。
 小道具(髪留めなど)の使い方も、さすがという感じだった。
 (あ、でもラストのサッカーボールは、原作の松ぼっくりのままでないとダメでないかな。野球のボールの代わりなんだから)

 役者的には、麻生久美子と田中麗奈の二人の主人公がやはり上手い。
 とくに麻生演じる皆実が死ぬシーンは、確かにマンガの表現の方が凄いのは事実だが、映画は映画で非常に感動的であった。
 田中麗奈のややコミカルな演技が個人的には非常に気に入った。そして、徐々に父親と母親、そして会うことのなかった伯母の過去を知っていく心情の微妙な変化を見事に表現していたと思う。


 ということで、映画は映画で大変によい作品で、多くの人に見て欲しい感動作であるが、さらにこの映画をきっかけにして、一人でも多くの人に原作を手にとって読んで欲しいと思う。

夕凪の街 桜の国

【製作年】2007年、日本
【配給】アートポート
【監督・脚本】佐々部清
【原作】こうの史代
【脚本】国井桂
【撮影】坂江正明
【音楽】村松崇継
【出演】田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、中越典子、伊崎充則、金井勇太、藤村志保、堺正章 ほか

公式サイト
http://www.yunagi-sakura.jp/
公式ブログ
http://blog.eigaseikatu.com/yunagi-sakura/





原作本

ノヴェライズ本

CDオリジナル
サウンドトラック
原爆を扱った映画(DVD)

『TOMORROW 明日』
『父と暮らせば』

『鏡の女たち』

『その夜は忘れない 』

『ひろしま』

『原爆の子』ほか

『黒い雨』

『さくら隊散る』





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最終更新日  2007.08.17 20:11:20
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