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2010.07.28
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カテゴリ:カテゴリ未分類
5.<追跡>

ヒロはなんにもわかっていない。
私がどれだけヒロの事が心配で、放っておけないのか。

ヒロは後ろを振り向かず、足早に何処かへ向かっているようだ。

何処に行くんだろう

エデンはヒロの後をこっそり着いて行く事に決めた。
どうやらヒロは、街の北の方向に向かっているようだ。

こっちは確か、エンジェルのギルドホールがある方向じゃない

ヒロはイライラしているように見えた。
いつものように襲ってくる黒い羽のモンスターを、鬱陶しそうに斬り捨てながら先を急ぐ。
エンジェルのギルドに着くと、ヒロは躊躇わず、中に入っていった。
エデンは魔法を使い、自らの姿を透明にし見えなくすると、ヒロの後に続いた。

エンジェルのギルドメンバーは、ギルドバトルでの勝利を祝い、大勢で酒を飲み
交わしている最中だった。そこには、アヤカと言葉を交わしたアークの姿もあった。
その姿は赤い髪と赤いマントが印象的で、一度見たら忘れられない。
アークは酒をグラスに注ぎながら、仲間とのんきに笑い合っていた。
ヒロは、つかつかとアークに歩み寄り、酒の瓶を取り上げると、それを床に向かって投げ捨てた。
瓶はパリーン!と音を立て、粉々に砕け散った。
とたんに、酒の匂いが辺りに充満する。
エデンはその匂いだけで、酔いそうだった。
その音で、たった今まで酔っていたギルドメンバーも驚いてこちらを見た。

「お前がアークだな。ちょっと面貸せや。」

ヒロは、アークの胸ぐらに掴みかかった。

「いきなり現れて、それはないんじゃないか。用件なら外で聞く。」

アークはヒロを睨み付け、その手を振り払った。
二人はギルドホールの外に出て行った。
エンジェルのギルドメンバーは慣れた様子でその姿を見送った。

強いギルドだ。
ギルドバトルで恨みを買い、他のギルドの人間が乗り込んで来る事など、日常茶飯事なのだろう。

ヒロは何がしたいの

エデンはただ呆れるばかりだった。

二人はギルドホールから離れ、一番近い狩り場に来ていた。
木が覆い茂り、ちょっとした林になっている。

「それで、俺に何の用だ」

最初に口を開いたのはアークだった。

「特に用はないけど、お前が気に入らなくてな!」

ヒロは短剣4本を鞄から取り出すと、攻撃体制にはいった。

「その紋章、アヤカと同じギルドか?」

アークはそう言い、剣を構えた。

「アヤカにちょっかい出してんじゃねーぞ!」

ヒロはそう言い、アークに向かって短剣を投げた。

アークはそれを、簡単そうに剣で払い落としてみせた。
力の差は歴然だった。

「何を勘違いしてる。俺とアヤカは何もない。友達だ。」

「お前はそうでも、アヤカは違うんだよ!」

ヒロはアークに向かって短剣を投げまくった。アークはそれを殆ど剣で落としたが、
1本見逃し、それは肩にブスリと深く刺さった。
アークはうっと、うめき声をあげ、それを力任せに抜くと鮮血が吹き出した。

「話し合いをしても無駄なようだな。いくぞ!」

アークはヒロに向かって剣を振るった。
ヒロは遠距離攻撃を得意としている。。
アークに間合いを一気に詰められ、接近戦となったヒロに勝ち目はなく、
アークの剣はヒロの血の色に染まった。

腹を斬られたヒロは、その場にうずくまり顔をしかめた。

「ぐっ」

鮮血が、ポタポタと滴り落ちる。
地面の土が、あっという間に赤く染まった。

「ヒロ!!」

それを近くで姿を消し、見ていたエデンは心臓が止まりそうだった。

「とどめだ。貴様に何の恨みもないが放っておけば、また俺を殺しに来るだろう。」

アークはうずくまったヒロに、再び剣を向けた。

「これで終りだ」

その剣が振り上げられる。

だ、だめ。
殺される!!

エデンは変身を解き、ヒロに駆け寄り抱きついた。
とたんに、背中に鋭い痛みが走った。

「な、なに!」

背中が悲鳴をあげる。

熱い...!

「仲間か?!」

アークは戸惑う。

ヒロはようやく今起こっている状況を理解すると、アークに助けを求めた。

「お、俺が悪かった!アーク、こいつは関係ないんだ、助けてくれ!」

エデンの出血はとまらない。ドクドクと鮮血が吹き出す。

「エデン!しっかりしろ!」

エデンはぐったりしていた。ヒロは自分の服を脱ぎ、それでエデンの背中を押さえ、止血した。

「ちょっと待ってろ!すぐ戻る!」

このまま放っておいたら助からないと判断したアークは、エンジェルのギルドホールにいる
白魔道士に助けを求めに行った。

「ヒロ、バカね。私がいなかったら死んでたわ。」

「エデン!喋るな!!」

エデンの口から鮮血が溢れ出した。
ヒロはエデンを抱き締めた。

しばらくし、アークが白魔道士を連れて戻ってきた。
白魔道士はエデン達の姿を見つけると、直ぐに呪文を唱え、回復魔法を使った。

「間に合って...!」

ヒロとアークは白魔道士の回復魔法に希望を託し、その姿を見守った。





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Last updated  2010.07.28 21:25:07
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