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本屋さんのビジネスコーナーに行くと、「**戦略論」、「**のマーケティングセオリー」
「こうすれば売れる・・・」。など 目が回るような数の本が山積みになっています。 そしてそのまわりには眉間にシワを寄せた人々の群れ。 しかし、多くの人間にとっては 現実の仕事の中身とそういった本の中身とがずれまくっていることに も気づいています。ココロの中では本で勉強したことを活かして 理論と実践がちゃんとマッチするようにしたいなあと思いでいる人が多いですね。 こんな思いが具体的なものにはならず終わってしまうのはなぜでしょうか? そんなことを考えるキッカケになった出来事がありました。 クラインアントの会社さんの海外営業部のリーダーの方とお話をしたのですが 彼は元気の無い様子。ちょこっとつついてみると 彼:「いやあ売れないんだよ。ものが、売れても安値でね。」 彼の会社はある部品を海外の通信会社さんに売っているのですが、最近伸び悩んでるとのこと。 私:「そうですか。お疲れの様子ですね。でどんな商売かもうちょっと具体的に教えて頂けますか?」 と質問を続けました。 ホワイトボードを前に、おおざっぱに線を引いて、知らないビジネスの大まかに質問をしていきました。 私:その製品の海外市場の規模はどれくらいですか? 彼:「うーん、それはよくわかんないなあ。うちの会社の売上ならわかるけどね。」 私:「今掴んでるお客さんと、つかみ切れていないお客さんはどんなところありますか?」 彼:「そうだね。通信会社さんは売れてる、でも他にうちの部品を使いそうなのは通信機器のメーカー LANとかの関係の会社かな。たぶん」 私:そうしたら掴めてる理由と掴めていない理由ははどんなものですか? 彼:「そうだね掴めてるお客さんは、これまでのパイプ、うちの技術力、品質、納期 がちゃんとしてることを評価してくれてるからだろうね。」 掴めてないお客は競争が厳しすぎて入れないんだよ。売っても安値だし・・・・。」 などなど、ライバルってどんな会社で、どこに強みがあるのか? あなたの担当製品が売上が伸びないのはなぜ?なにがネックになってる? その部品のこの10年くらいの値段の推移ってどんな感じですか? この先この部品って安くなると思いますか? この部品の値段って何が一番きいてくるんですか?原材料?人件費? 部品の値段を下げるとしたら何をどうすればいいですか? 出来ない理由ってなんですか? と次々と質問をぶつけていきました。 しかし、実際にいろいろ聞いてみると日常目に入りそうな事柄については答えられても この先のことや、市場全体に関わるような肝心な質問にはなかなか答えをくれない。 そんな中、彼のどんどん顔が険しくなっていく。 まずいなあと思っていると 彼は唸るような声で 「いやぁ、やらなくちゃいけないことは判ってるし やりたいことはいろいろあるんだけどね、でも日々の営業をやってると手が回らないんだよ。」 彼はなんとも言えない表情をしました。 一瞬の沈黙の間 私はある人のコトバを思い出しこう切り出しました。 「そうでしたか。お気持ちはよく分かりますよ、なぜかというと私も営業をやっていたとき目の前のことを かたづけるために日々精一杯でしたから。土日も無く、毎日午前様が日常でした。 先のことや市場全体のことなんて考える余裕ありませんでしたから。」 新しい案を迫る企画部門とお客との板挟み。こんな生活を続けていくと 次第に思考が停止していく。私自身に彼と同じ経験があったのできっとこんな気持ちなのだろうと 察しがついたのです。 そこで、私は続けました。 「私がいうのも失礼かもしれませんが。どうも日々の仕事に手を取られてしまって前向きな作戦を練る時間もないってことですよね。 これってすごくフラストレーション溜まりませんか?私はすごくつらかったですよ。 なにせ何をすべきかが判ってるけど自分がそれを出来ていないのも判ってたから。 自分がなんだか情けなくてね。 「とにかく今は時間をひねり出すのが大事ですよ。 さっそく一日の仕事時間を「作業」と「考えなくては行けない仕事」とに分けてみましょう。 時間を作った上で既にアタマに浮かんでるアイデアを実行しましょうよ。」 彼の顔がパッ明るくなった気がしました。 その後は一緒に彼の手帳を眺めながら一日の活動を洗い出して行きました。 資料作成、営業数字の集計、他部門との会議、電話、部下の相談にのる、 お客さんとの商談、移動時間などなど そこからさらに、 ・その仕事は営業のリーダーである彼がやるべきことなのかどうか? ・数字の集計などの正確さやスピードを要求される仕事はそもそも人間がやるべきか? ITを使うべきか?もし使ったらいくらかかるか?安いもので代替できないか? ・彼が率いるグループのメンバーも彼と同じ問題を抱えてるのではないか? だったら仕事の割り振りをもっと効率的にできないか? などなどいろんな話題に広がっていきました。 彼は見違えるように明るくなって ホワイトボードから打ち出した紙を握りしめ部屋を飛び出して行きました。 こちらも明るい気持ちになり部屋を出ました。 一瞬凍った空気の中で私が思いだしたのは次の言葉でした。 「これが正しいからこうすべきだと人に押しつけてはいけない。 そうではなくて「何が大切か」をまずお互いで確認してみる。その上で何をすべきかを問いかけるのです」 ホテルの再建で知られる高塚猛さんの言葉でした。 身にしみました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年03月15日 15時03分10秒
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