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カテゴリ:アメリカTV事情
アメリカのケーブルTV局、フード・チャンネルがシリーズ化したアメリカ版料理の鉄人こと"Iron Chef America"。 昨年春のパイロット版では日本の鉄人がアメリカ人鉄人に大差で全敗を喫するなど、ジャッジの人選も含め、全てが脚本で予め決められていたかのような不公平な印象を与えた。 今回、シリーズ化するにあたり、パイロット版の反省点がどの程度改善されているのかに注目してみた。 (2005年1月15日の日記参照。) アメリカ版鉄人も三人。 悪名高いBobby Flay、イタリアンの鉄人Mario Batali、和の鉄人Masaharu Morimoto。 まず、初回は”バッド・ボーイ”ボビー・フレイ(Bobby Flay)とリック・ベイリス(Rick Bayless)。 アメリカ南西部Southwestの料理を得意とするボビーに対して番組がぶつけてきたのは正統派メキシコ料理のリック。 南西部の料理はメキシコ料理の影響を大きく受けているので、 この戦いは言わば同種対決。 Fair enough。 「今日のテーマ」secret ingredientはバッファローbuffalo(アメリカバイソン)。 ジャッジはこの三人。 Ben Schmerler(グルメランキング誌ZagatのSenior Editor) Julie Chen(CBSテレビのモーニングショウ"The Early Show"の視界の一人) Jeffrey Steingarten(ハーバード卒弁護士から雑誌Vogueの料理評論家へ転身) パイロット版でアジア系ジャッジが一人もいなかった批判を考慮してか 中国系のジュリー・チェンを入れてきた。 (このJeffrey Steingartenっていう太った白人のおやじが個人的に何か嫌なんだよねぇ。 この世代のアメリカ人特有の態度なのかもしれないけど、 ひどく偉そうで他人を査定するかのような見下した目つきが何だかuncomfortable。) それぞれのジャッジがtaste(味)について10点満点で、 plating(盛り付け)、originality(独創性)についてそれぞれ5点満点で採点する。 ジャッジ一人につき20点満点、合計60点満点での評価となる。 ボビー・フレイは今回はとてもリラックスしているように(最初は)見えた。 きっと以前は日本人に負けたくないという気持ちが強すぎたのだろう。 しかし、ボビー・フレイはあまりorganizedではないようで、 油はどこに置いた?だのあれはどこだ?などと探し回ったりして ドタバタ走り回っていた。 そして失敗して作り直しになったり、、、。 時間がなくて急いでいるのはわかるけれど、あまり頭は良くなさそうである。 一方のRick Baylessは静かに黙々と料理をしていたのが非常に対照的であった。 番組の放送と同時にウェブサイト上で視聴者がそれぞれのシェフに対して採点が出来る。 視聴者は味はわからないので代わりにperformance(手際のよさ)で採点する。 視聴者はボビーの手際の悪さをしっかり見ていてperformanceはRick9点に対してBobby7点であった。 (その他の項目について視聴者の評価は2人とも同点。) さて、肝心のジャッジの評価だが、 Taste: Flay 24, Bayless 24 Plating: Flay 13, Bayless 12 Originality: Flay 13, Bayless 13 でBobby Flayが勝った。 けれども、勝ったのは盛り付けでのたったの一点差。 日本の料理の鉄人と違い、それぞれのジャッジが何点をつけたのかを教えてくれないのがちょっと残念。 (Julie ChenとJeffrey Steingartenがそれぞれ何点をつけたのかちょっと興味があったのに。) さて、二週目はマリオ・バタリ(Mario Batali)とロベルト・トレビノ(Roberto Trevino)の対決。 Mario Bataliはイタリアンの鉄人。 Roberto Trevinoはプエルトリコ系でラテンアメリカとアジアのフュージョン料理らしい。 こちらの対決のsecret ingredientはcat fish(なまず)。 こちらは52対43でMario Bataliの圧勝でした。 しかし、ちょっと気になったのはカメラの後ろでコードを持って回るフロアスタッフ。 退屈なのはわかるけど、Rick Baylessの後ろで大あくびをしているのがおもいっきり画面に映っていた。このシーンは特に重要なシーンじゃないし、編集でカットすべきだったんじゃないかな?何かフロアスタッフも編集もプロ意識に欠けるなあ、、、と思ってしまうのは日本人すぎるか? さて、三週目はボビー・フレイ(Bobby Flay)とミン・ツァイ(Ming Tsai)。 ミン・ツァイは中国系アメリカ人で、東洋と西洋の折衷料理”East Meets West”と呼ばれるスタイル。以前はフード・ネットワークでも番組を持っていた。 テーマとなるsecret ingredientは鴨(duck)。 ジャッジはQueer Eye for Straight GuyのTed Allen(彼を紹介するときの肩書きが単なる食通”Foodie”だったのがちょっと笑える)、Dr. Vishakha Desai (President of Asia Society)(何のドクターなんだか、、、。アジア・ソサイエティーのプレジデントってインド人なの?何かアジアって言うとどうも東南アジアまででインドから向こうは別物って感じがするんだけど、、、。特にインドはインドで他とは別物だよね。)、Jeffrey Steingarten(どうもこの人が肩肘ついてえらそうな態度で食べている姿が嫌なんだよね。しかも箸の使い方がすごく下手だし。食通を気取っているけれども西洋料理以外にはあまり通じていないのかも。) きっと過去の日本版に出演したときおよびパイロット版で、フード・ネットワークにはボビー・フレイに関してアジア系視聴者から苦情がたくさん寄せられたのだろう。そのボビーのアジア系対策なのか、ボビーが出演した二回ともジャッジにアジア系を一人入れて、公平感を出そうとしているように感じられた。でも、インド人はないだろう。インドは別物って気がするんだけど、、、そんなことないですか? 対戦結果は48対43でミン・ツァイの勝ち。 Taste: Tsai 26, Flay 21 Plating: Tsai 10, Flay 11 Originality: Tsai 12, Flay 11 う~ん。どう見ても確かにミン・ツァイの料理のほうがおいしそうだったけど、 どうもボビー・フレイが手を抜いてわざと負けたような気がするんですけど、、、。 アジア系の機嫌を取るためにわざと負けたような、、、。 シナリオでそこまで仕組んでいたかな? それともうがった見方をしすぎか、、、? どうも、アメリカ版の料理の鉄人はやらせであらかじめどっちが勝つかシナリオで決まっているんじゃないかと勘ぐってしまう。 どうも信用を失ってしまった。 しかし、ボビーはフード・ネットワーク以外にも活動の場を広げようとしているようだ。そのために今までのバッド・ボーイのイメージを払拭し、好感度を上げようとしているのではないかと私は読んでいるのだが、、、。 実は、なんと、ボビー・フレイがリアリティー・ショウに出演している。 といっても、コンテスタントじゃなくてジャッジとしてだけど、、、。 その番組はCBSの”Wickedly Perfect”。 実はこの番組、コンセプトが中途半端でわかりにくい。 パーティープランナーやら大工やらフラワーアレンジャーやらが多数出てきて、 毎回、野外でのキャンプやらミュージアムのオープニング・イベントをプロデュースしたりして、いかに細部までこだわって完璧な「物」を演出できるかを競うもの。 インテリアの飾り付けからキャンプのテント、テーブル、トイレ作り、料理から衣装、小物作りまで、要するにクリエイティブと呼ばれる分野全般で何でも完璧に出来る人、オールラウンダーを探そうというもの。 ボビー・フレイは料理のジャッジとして出演している。今までと勝手が違うからかここでは大人しくしている。 でも、料理の専門家が料理でジャッジされるのならわかるけど、なんでフラワーアレンジャーや大工が料理作ってそれで評価されなきゃいけないのか、いまいち理解に苦しむ。 Wickedly Perfect、私の評価は★☆☆☆☆。(久々登場、私の★評価。) Wickedly PerfectはCBSで土曜日午後8時から。 オフィシャルサイトはこちら。(英語) あ、そうそう、Iron Chef America The SeriesはFood Networkで日曜日午後9時から。 オフィシャルサイトはこちら。(英語) (勝手にビデオが流れるので仕事中の方は気をつけて。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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