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カテゴリ:刃物(ナイフ)
私はプライベートの登山や山スキーは勿論、仕事でも山にいることが多く、野生動物との接近遭遇は一般の人より多いと思う。 哺乳類では、クマ、サル、カモシカ、ニホンシカ、イノシシ、タヌキ、キツネ、テン・・・などと合っている。 クマとの遭遇は3回あるが、一度は、群馬と新潟の県境、三国山山中で15m程度の距離で出合いニラミ合い状態になってしまったが、先輩に教わった通り「目を見ながら見えない所まで後退り」で、事無きを得ている。 やはり早く自分の存在を相手に知らせることで、無用の遭遇を避けることができる。 写真は南部熊鈴と叉鬼山刀です。 熊鈴は7~8年前に購入したもの、かなり高額な買い物だったように記憶している。 盛岡市で南部馬具職人が作っているそうで、皮のベルト通しに真鍮製(南部というぐらいだから鋳物製だと思う)の音程の異なる2個の鈴を組み合わせているので、とても音色の美しい、遠くまで響く音がします。 この熊鈴は皮が柔らかくなってくると「シャンシャン」と鈴がよく鳴り、うるさくて仕方がないのですが、皮のベルト通しを、雨の中で使用しても皮の内部まで水が染みないように蝋漬け加工を行っているので、長年使用していても皮がまだパリとした状態で上品な音色を発しています。 登山でも鈴を付けている人がいますが、「うるさいので外して下さい。」と言われた人もいるぐらいですから騒音にならないように注意も必用ですね。 叉鬼山刀7寸は15年ほど前に、渓流釣りを行っていたときに、沢登りの第一人者の深瀬信夫さんに傾倒しており、その著書に「沢登りの刃物は万能の剣鉈1本で良い」ということが書いてあり、深瀬さんはナイフメーカーでもあったので深瀬山包丁を購入しようとしたが、あまりにも高価だったので諦めました。 叉、鬼山刀については当時でも知っていましたが、当時まだ三代目西根正剛(本名:西根 稔)氏は健在で、鉈の名と鞘に大きく「叉鬼山刀」と書かれており、気恥ずかしいような気がして購入に踏み切れずにいました。 秋田に渓流釣りに行ったとき偶然、秋田県北秋田郡森吉町前田の西根鍛冶店に立ち寄り、フクロナガサが欲しかったが、西根登さんに直接相談して「柄付ナガサの方が一般用途には使いやすい」とのアドバイスを頂き購入したのがこの「叉鬼山刀」です。 四代目襲名前だったので正式には「叉鬼山刀」ではないのかもしれませんが。 「叉鬼山刀」「袋ナガサ」は故西根稔さんの登録商標のため、表には「森吉」裏には「前田 登作」となっています。現在は西根登が作成した物には「叉鬼山刀」の名は入ります。今となってはレアモデルか? 叉鬼山刀の鋼材は、日本刀の素材としても有名な島根県の安来鋼で、それも終戦前までに製造された鋼(はがね)をストックし、叉鬼山刀だけのために使用している。これは戦後のヤスキハガネとは全く別もので、この鋼を手に入れることは、もはや不可能。故西根登さんの経験と勘に裏うちされた技術と天性によって、叉鬼山刀には作り上げられている。また、叉鬼山刀には、先達から引き継いだ日本刀の「裏打ち」の技と伝統が、今もなお生きているそうだ。 鞘は、天然の秋田杉でつくられているが、現在の物と大きく違い、紐止めの部分が削り出しで作成され手の込んだものとなっている。また今のものは樺細工が施されているが、実用一点張りのシンプルな作りになっている。 この天然の秋田杉は、資源保護のため、あと数年での伐採は中止になるそうだ。そうなると、この伝統工芸品とも言える鞘は、いつかは他の材に変わることだろう。 でも「叉鬼山刀」もったいなくて使えずにしまっていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.11 18:39:36
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