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カテゴリ:釣道具
渓流釣に熱くなってなっていたころ、いわゆるプロの釣師の講演や実釣を見たりしたが確かに数を釣るし上手であったが感動には値しなかった。 私は、地元の本流釣り場では川を熟知していたせいもあり、一般の釣り人の倍以上は釣り「テング」になっていた。 職場でも、私の「釣りキチ」ぶりは評判になっていて、ある日、仕事の受注元の上会社の方より、接待に使う山女魚や岩魚を確保したいので一緒に釣りに行く誘いがあった。 その人の釣りのカリスマ的評判も以前から聞いており、どんな釣りをするのか見てみたいと思っていたので、一つ返事で了解した。 新潟県の、ある本流河川に早朝到着し、数釣りの目的であったので、二人で短い区間に分けて釣りを始めた。30分程度で一度合流し、私は比較的に良型の山女魚を3匹キープし始めての釣り場ではこんなもんだなと思って、少し自信を込めて「どうでした」と聞いてみると「まあまあかな」とビクを開けた。私は目が点になった。魚篭の中には15匹をこえる山女魚が入っていた。 あまりのショックに、私は竿をたたみ見学させてもらうことにした。投入する流れの筋、流れの層、ポイントの見切り、全てが素晴らしかった。 結局私は、午前中のほとんどの時間を見学に費やした。半日の釣果は110匹を超えていた。 私の自信などすっかり崩れさり。私は、弟子入りした。 いわゆるプロのと呼ばれているいる人達より確実に釣りの技術は上であることは間違いなかった。 師匠のお爺さんは職漁師で何時も後を付いて釣りをしていたそうだ。正に職漁師の技である。 師匠の釣の評判はけして良くなかったし。けして綺麗な釣ではなかった。師匠の釣った後には魚がいなくなるのではと思うほどで。師匠にそのことを指摘をすると、「雑魚は川から湧いてくるから絶えてしまうなんてありえない」「オレ程度の腕ではここの魚は釣りきれない」とキッパリいわれた。 師匠についてしばらく釣行を重ね釣りの技術も、ポイントを見る目も盗ませてもらった。しかし師匠は釣りだけででなく、酒にも女にもプロ級でとても私には付いていけなく、釣だけでなく人生にも自信を失い掛けた。 そんなある日一人で行った釣行で46センチの桜マスを釣った。サクラマスとしてはけして大きいサイズではないが何だか渓流釣に区切りがついたように感じた。今でも誘われば釣に行くがあの時のような情熱は失われた。 すごく長い前置きになったが、そんなことでこのタモには網が付けられていないのである。 胸高直径60センチをこえる、樹齢50年ほどのサワラの先端部分で作った。サワラやヒノキは同じ所から枝が2本出ることがないのでタモ枠の芯がずれているのがポイントである。枠と柄の太さが自然のままでちょうど良かったので、なるべく削ったりぜずに自然の形状を生かすよう、採取する時から柄になる芯の枝を根元から切らず、柄に瘤が出るように計算して作った。 枠径は30センチ、鮎タモのサイズであるが、あくまで「サクラマス」のためのタモである。今このタモの網を付けてみたい衝動に駆られている。 ちなみに師匠の道具は、メバル竿6.5m、1万2千円、「弘法筆を選ばず」である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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