Montage of invention ~Chapter3-5
Chapter 3-5だが、透の行動は改まるどころか、ますますエスカレートしていった。ある日るり子が夜勤から帰ると、見知らぬ若い女がベッドの上で、下着姿のまま髪をとかしていた。「おばさん、だれぇ?」二十歳になるかならないかの女がるり子の方を振り向いた。「あ、あなたこそ誰なの?ここで何をしているの?!」「だってぇ、おにいさんが泊まってもいいって言うんだものぉ。」透は全く悪びれた様子もなく、アルコールの入ったグラスを片手に、ベンチにもたれかかったまま、成り行きを見守っていた。「あたし、帰るぅ。」二人の間に挟まれていたたまれなくなったのか、若い女はそそくさと服を着るとバッグを抱えて出て行った。「透!これは一体どういうこと?!」玄関が閉まると、るり子はツカツカと透の方に歩み寄って、グラスを取り上げるとテーブルの上に置いた。透は無言のまま、立ち上がってグラスに手を伸ばそうとした。「まだ飲むつもり?!」その手をるり子が掴んで争った拍子に、ベンチの隣のサイドテーブルに置かれていたボトルが倒れ、床に転げ落ちた。トクトクと中身が流れ出る。「何するんだ!」顔色を変えて、透がるり子に掴みかかった。そのまま濡れた床にるり子を押し倒すと、るり子の上にのしかかった。片手でるり子の両腕をねじ上げ、もう片方の手で、2,3個ある上着のボタンを外し、カットソーをたくし上げる。「何をするの?!嫌!やめて!!」両足で挟み込んで下半身の自由を奪うと、るり子の下着を引き剥がそうとした。抗うるり子のキャミソールの下から、白い乳房がこぼれる。「お願い、やめて!」るり子は渾身の力を込めて、突き飛ばした。二日酔いで、足元のふらつく透は、簡単に尻餅をついた。「何、お高くとまってるんだ。元運転手じゃ嫌なのか?」るり子は体を起こすと、透をきっと見据えた。「...私のこと、嫌になったのはあなたの方でしょ?!」「あんただって、じいさんの相手ばかりしてて、若い男の身体が恋しかっただけなんだろ!!能無しの捨て犬は、やっぱりダメだって、後悔してんじゃないのか?!」「私たち...、もう終いね...!」目を潤ませて、それだけ言うと、るり子は上着を羽織って駆け出した。透は腰を落とした状態で、手を伸ばして床に転がったボトルを取ると、そのままあおった。口に含みきれなかった液体が、顎を伝って首筋を流れ落ちる。「―るり子...!!」ボトルを投げ捨てると、透は片膝に顔を伏せ、肩を震わせた。* * * * * * * * * * * * * * 目が覚めた。傍らにるり子はもういない―。外は雨だった。透は起き上がると、ベンチに腰掛け、傍らに置いてあった写真立てを手にした。フレームの中で、るり子と自分が笑っている。窓辺に立って外を眺める透の目に、涙が滲んだ。そっと写真を抱く透の胸に、るり子との楽しかった日々が甦る。『君を守るために―』透は写真を抱いたまま、じっと雨を眺めていた。 続く