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蜘蛛の巣だらけの、小屋の扉を開けた。 濃い闇が広がる。 中にも蜘蛛の巣が張り巡らされ、一歩入った私は手で、纏わり付く糸を払いのけた。 私が立つここは、二階のようだった。 しかし階下は暗くて見えず、この巣の主が潜む重い気配だけが、感じられた。 私は恐ろしかった。けれどもそこを動こうとしなかった。 何故か私は笑っていた。 腹の中はきりきりと恐怖が迫るのに、顔に笑顔が張り付いていた。 やらなければ。 そう思って、羽織っていたジャケットのポケットに手を突っ込んだ。 じゃり ポケットの中は、何か硬い物が沢山詰まっていた。 嫌な予感がして、ゆっくり見てみる。 手の中に沢山乗っかったそれは、真っ黒く細長い、気味悪い縞模様の入った、蛾の蛹だった。 声にならない悲鳴をあげて、私はそれを床に全て落とした。 ポケットをまさぐる。 じゃりじゃり 硬いそれは、あふれるくらいの量でポケットの中にいた。 嫌だ、 私は必死で、ポケットの中から蛹を出した。 黒くて、腹部に妙な膨らみを持つ蛹は、瞬く間に、板張りの黒い床にぱらぱらとばら撒かれた。 その時ふと私はある音に気付いた。 さわさわさわさわ ・・・何? 足元を見た。 闇の中、ドアから漏れる光を反射して、無数に黒光りする、小さな動くもの。 蟻だ。 先ほどばら撒いた蛹に、蟻が群がって、食べている。 黒いと思っていた所は、全て蟻だった。 床を埋め尽くす蟻。 ポケットから溢れる蛹。 嫌悪感で、吐き気が喉元までこみ上げてきた。 目が覚めた。 夢だった~ ぉええ~~~~きも~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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