「信頼の原則」
「信頼の原則」 2003年2月に、大阪の交差点で赤信号を無視した乗用車と青信号で交差点に進入した男性会社員の車が衝突、赤信号で進入した乗用車の二人が死亡した交通事故について、大阪地検が業務上過失致死罪で不起訴処分とした会社員について、再捜査が行われ、一転して先月在宅起訴をしたという記事が、報道されました。 地検は当初、相手の信号無視を重視し、互いが交通ルールを守ることを前提とした「信頼の原則」に基づき、会社員の過失責任を問わなかったのですが、今回は事故現場の見通しがよかったことなどを考慮し、「会社員が前方を注意していれば、事故は防げた」と、処分を切り換えたとのことです。 記事の中には元最高検検事の土本教授の「過去に、信頼の原則を過度に適用することは人命軽視につながりかねないと議論になり、近年では老人や子供などの交通弱者が事故の当事者となった場合、同原則の適用を見送る例が増えた。今回は適用の範囲を更に狭めた例で、人命尊重、交通事故の厳罰化の流れに沿う」というコメントが載っています。 確かに、今回の事故のケースでは、道路の見通しがよく、会社員は交差点の約100メートル手前で男性の乗用車を確認出来たということ、会社員が制限速度(時速60キロ)を約30キロオーバーしていた、ということから考えると、いくら信号が青だからと言って、そのままのスピードで交差点に進入したことは十分な注意を払ったとは言えないでしょう。また、スピードを超過していた部分は重大な過失であると考えられます。今後の行方を見守って行きたいと思います