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自分でつくる、女性旅,しましょう・・・

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2008年03月16日
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カテゴリ:大人の女性旅
カチャカチャと言う金属が重なる音と、

朝食に間違いない、私の大好きな匂いが機内に充満した頃

ようやく、ブランケットの塊のようになった彼女が

もぞもぞと動き出した。


ボサボサになった頭を覗かせ、しばし天井を見上げる。









 「おはよう」









少し前に起きて、同じくボーっとしていた私が声を掛ける。







 「 おはようございます。。。 」








くぐもった声で返す彼女は、今まさに脳をフル稼働させて


自分の今の状況を再確認しているように見えた。











 「 いい匂いしますね 」











 「もうすぐ朝ご飯だから。」











 「お腹、空いたな・・・ 」





すごく健全な言葉に、なんだかホッと安心する。

 
彼女は、


くしゃくしゃになったブランケットを丁寧に畳み始めて



そのうち、パチっ!と静電気を起し、あまりの音の大きさにびっくりしてる。



クルーが、前方より、ウィンドウの日よけを空けるように乗客に促すと


前の方から徐々に真っ白く眩しい光が機内を照らし始めて


私達も目を細めながら、新しい日が始まったことを確認する。










 「あと、どれくらいで着くのかな。。10時間くらいですか?」








!!そんなわけ、ない。


トータル12時間45分のフライトで今からまた10時間だなんて。


だけどこの娘はそれを知らないで乗ってきたに違いないし


だんだん、相手するのが慣れてきた。 





鼻でふふっと笑いながら


 「そんなにかからないよ。 せいぜい3時間くらいかな」


 






 「そんなに早く着いちゃうんだ ・・・・・ 」







 「朝食とって、ほっとしたら 直ぐだよ。」







 「・・・・・・・・」






そこから すっかり無口になってしまった。



きっと旅の不安がまた、襲って来たのだろう。




でも仕方ない。


これも彼女の人生経路の一部。


私がどうにかできる物でも、するものでも、ない。





彼女自身が、何か得るものがあって、ここまで来たんだろうし


彼女自身が、解いていかなければならない問題が待ち受けているだろうし。



また、彼女は今までにない、人生の楽しみも、味わう機会を得るのだろうし。










そういう、私も。





彼女と出会って、色々「彼女のこと」として考えて来た事が



自分を振り返らせ、同じように自分の事も考えていることに、



既に気がついており、







それは、とても貴重でありがたいことだった。






ほんとは、2冊の単行本と、表面的な情報を毎回ちょっと違う角度から


表現しているだけの安っぽい雑誌と、それほど魅力を感じないけれど


「一応観ておこうか」と思う 新着映画 に費やす筈だった時間が



こんな風に素敵な時間に変わったことを



ちょっぴり、いや、かなり嬉しく思いながら



神妙な顔つきを崩さない彼女をみてみた。










  「 乗り継ぎ、手伝ってください 」





 はっきりと、私にこうお願いしてきた彼女は



 神妙ながらも、ちゃんとこの旅を受け入れたように見え、



 私は、



 「もちろん。。いいよ。 ついてってあげる」



 といいながら、彼女とそのまま旅したい気分になった。






 それを見透かしたかのように、彼女の口からは




 「貴女と一緒に旅してみたかったです。」




 と、いう言葉が出てきた。









 実は、



 この時、自分でも始めて分かったのだけれど




 私がこの仕事をしていて、一番お客さんに言われたい言葉がこれだった。







 「一緒に旅したら どんなに楽しいだろう 」


 とか

 
 「是非、一緒に行きたい」


 とか


 これを言われると、私は、 「行こう!!!」と手放しで言いたくなるくらい


 うれしい。




 私でいいの? 私がいいの? 私と? 私に?  私が!!!?




 そうなると、相手を愉しませる自信はもう100%どころか200%どころか



1000パーセントにもなる!!!



 その時も、そういわれて、

  
 あー彼女と一緒に旅したいかもと 思った。



 一緒に行って、 彼女の嬉しそうな、これまで誰にも見せたことないような笑顔を。。。 そして発したことないような言葉を。。。
私が、、、、、、と思ってしまった。



 でも異常に責任感の強い私は、そうはいかず、


 今回は見送るしかない。









 あの時、彼女と一緒にスペインに行っていれば



 今の私は変わっていただろうか。








 
 





















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最終更新日  2008年03月16日 18時13分06秒



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