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2008年03月16日
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カテゴリ:大人の女性旅
ベルギーからオランダ上空へ映り、


パリまであと1時間ほどのフライトになった頃


窓から見える雲が異常に多くなってきたのに気がついた。


さっきまで朝日で輝いていた機内は


どんより分厚い雲のお陰で 夜に近い夕暮れのような暗さに変わってしまった。


徐々に着陸態勢に入ってくると、機体は少し下降気味になったり


また上昇したりを繰り返す。



天候が不安定な時に、よくあることだ。







しばらくして、アナウンスが流れる





どうやら パリには珍しく、霧がひどいとのこと。



そのお陰で視界が良くなるまで 何度か旋回する、、というような内容




彼女の表情が若干曇る。




 「大丈夫ですよね?」






何をもって 私が、【大丈夫】などと言えるのだろうか。





全くもって、私と彼女は、この飛行機のただの乗客であるというのは


変わりがない。





ただ強いて言うと、違っていたのは私が経験上 こういうことが




「良くあること」だというのを認識しているので、




「危険じゃないの?」とむやみに自分をあおる事が少ないというだけ。






でも 初めて飛行機にのった彼女には、そういった認識があるはずもなく





 「大丈夫。 よくあることだから 」






という私の返事に、



ただただ素直に《安堵の表情》を見せたのも



至極当然のことだった。










結局2回ほど上空旋回をして、パリのシャルルドゴール空港に到着したのは


予定を、30分も過ぎた頃。



私はもともと乗り継ぎのリスクを嫌うタイプで


本来はパリで一泊したいくらいだったけれど、


パリの市内に出るまでの煩雑さを考えると


翌日の空港までの道のりがとても面倒な事に思え、


出来るだけ乗り継ぎ時間を長くした上で次のフライトを選んでいたこともあり


乗り継ぎに対しての不安は全くなかった・・・



ただ。。。



彼女のフライトパターンは知らなかった。









「ちょっとさ、スケジュール見せてくれない? チケットでもいいわ」










「え? えっと・・・ これですか? 」










差し出された一枚の紙(Eチケット)を 暫く眺めてた私は









固まった。







もともとの乗り継ぎ時間が、、、、




1時間10分しかなかった・・・





既に30分が経過しているという事は、、、




彼女は、あの広くて分かり難い空港で、



たったの40分で乗り継ぎをしなければならない!






初めての海外旅行




初めての飛行機



初めての乗り継ぎ






この三重苦にして更に、乗り継ぎ時間短し!という課題!!!






なぜ彼女がチケットを買った旅行会社のスタッフは




そこまで 気が効かなかったのだろう。



もともとの1時間10分でさえ




少し危険だということを。





私だったら 絶対、こんなフライトパターンで彼女を旅させたりしない!!








この娘の前途多難ぶりを まざまざと見せ付けられた気がして




私自身、卒倒しそうになった。





ついていって、なんとか彼女を飛行機に乗せねば!




いや、もう無理かも? 次のフライトを手配して貰う方がいい?





空いてるだろうか。





だめならパリで一泊させるか・・・・・・・・









とにかく私が焦ってはいけない。




落ち着いて、彼女にちょこっと伝えてみる。





「 ちょっと、急いだ方がいいね。 次の便に乗るの。 」








荷物をイソイソと降ろしながら、ハッチが開くのと同時に走って出ようと




彼女に身支度を急かした。




通路に列が出来る前に、私達はハッチ前に到着し




開くのを待った。
















ハッチが開き、





最初に目に留まったのは、






エールフランスのクルーの姿だった。









私は いつもと違ったクルーの様子にちょっと戸惑いながらも


その間をすり抜けようとすると、







 「Ms ○○?!」  と声を掛けてきた。







私が 「No!」と応えようとしたその瞬間








 「はい、私ですけど? 」 と彼女が応えた。







 実は、私、ここへきて、彼女の名前も知らなかった事に自分でも驚いた






 

 でも 実際に驚いたのは、クルーの用件の方だった








 要するに、飛行機の到着が遅れた為に、乗り継ぎする人で、


 乗り継ぎ時間が少なくなった人を迎えに来ていたということだったらしく


 私がそれを彼女に伝えようと、振り向いた



 そこには、



 もう、彼女は居なかった。










 既に、もう一人のクルーに、腕を引かれるようにして


 
 彼女は通路を随分先に進んでしまっていたのだ。




 後から、私に説明していたクルーもそちらへ追いつき




 やがて両方から支えられるようにして歩かされている彼女は、、、



 まるで



 連行されていくように・・・見えた。。。






 そう、


 逃れられない運命に


 彼女は


 連行されて 行ったのだ・・・・・・・・







 私には





 それから先の、彼女の旅のいきさつを知る由もない。


 





------終わり-----





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最終更新日  2008年03月16日 22時15分53秒



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