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カテゴリ:たびごころ
こつこつ
私の乗る コンパートメントの扉を叩く音 「どうぞ」 「失礼いたします 本日はどちらまでお出掛けで?」 「ああ オクスフォードです」 私はチケットを出しながら答える 「ありがとうございます」 車掌はハサミを鞄に仕舞いながら頭を下げる 「良いご旅行を!」 こつこつ 再び扉を叩く音がする 「どうぞ」 私は読み止しの本から目を上げて答える 先程の車掌が扉を開ける 一人の少年が一緒に立っていた 車窓から外を眺め続けているその少年は オクスフォードに住む叔母を訪ねる そのまま「無口」でいるがいい 私がそうだったように 付記 オクスフォード行きは パディントンから乗るんだよ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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