翼を下さいっ!さらばYS-11
今日は友人と天王洲にある銀河劇場で上演されている芝居を観に行った。この芝居、劇団はギンギラ太陽’Sという、私の地元福岡で有名な劇団で、東京に特別講演で来たということだったので、「こりゃいかなきゃ!」と思い、仕事のコネを使ってなんと5列目中央付近というすんばらしい席を友人分と確保してもらったのだ。福岡でちょっとこういう事に興味のある人だったら知らない人は居ないという劇団だ。今回の演目は「翼を下さいっ!さらばYS-11」。長崎国際空港(だっけ?大村長崎だっけ?)、はたまた佐賀県名物のバルーンフェスティバルの「バルーン」だったりする。話はスカイマークエアラインがついに黒字になり第5機が誕生したところから始まる。5機は福岡市の「雁の巣(日本初の国際空港であった場所、現在は近隣でホークスの練習など行われている)飛行場」に集まり、1号機が体験した事を5号機に話す事から始まる。スカイマークはJAL.ANA,JASと3社の中、安い航空運賃を売りに新規参入した航空会社だ。路線は東京ー福岡の1日3便。日本では4番目の空港と言われる福岡空港は、実は滑走路が1本しかない。メインは第二ターミナル。滑走路はいつも各社の取り合いになる。(現在は国際空港が別にあるため昔よりマシ)スカイマークは大手3社に虐げられ、それに耐えていた。滑走路が少ない福岡空港第二ターミナルはある企みを…。それは現在は朽ちた格納庫(現在はもう無い)のある雁の巣に「良い空港があるから、そこから飛べばあ?」という事。何も知らないスカイマークはそこへ行き、数十年ぶりに飛行機はきた雁の巣の格納庫(雁の巣さん)は喜ぶ。そしてみんなのお母さんの様な雁の巣さんはスカイマークの面倒をみていく。そんな中、スカイマークは雁の巣さんや福岡空港、戦時中、東洋一と言われた大刀洗飛行場での悲しい歴史などをある企みを持った、国産第一号機YS-11別名「サムライ」から聞く。笑いからスタートする芝居、途中には戦時中の悲しい歴史が映像を交えて展開する。雁の巣は日本初の国際空港で台湾や上海からの飛行機を受け入れていたのだが、WW2勃発後、東洋最大の陸軍飛行場からの練習生を受け入れることになる。大刀洗飛行場は悲しい歴史を持つ。元々は飛行場だったのだが、特攻隊は知覧に移動し、それを期に飛行学校となった所だ。ここから最後に飛び立ったのは3機。うち1機は博多湾に落ちてしまっている。雁の巣さんはそんな歴史をずっと見てきた。そんな悲しい歴史をYS-11は新規参入で苦しんでいるスカイマークに語る。途中、長崎国際空港(日本初海上空港)は江戸時代の反映を取り戻すべく様々な画策をするが、それは出来ずに終わってしまう。笑ったかと思うと暗転によって歴史を語る飛行機たち。無機質な飛行機に感情を与え「飛びたいんだ。」と言う。戦争に負けた日本は、国産飛行機を燃やされてしまった。占領下、6年間もの間日本は独自で飛行機開発をする事を許されなかった。戦後、唯一日本が開発した国産飛行機、それがYS-11。2006年に最後のフライトを終え日本ではもう見る事ができない。そんなYS-11と雁の巣さんたちが語る歴史は悲しい。そして雁の巣さんは朽ちた格納庫まで壊されてしまう。雁の巣さんは居なくなった…と思いきや、実は今は日本の空全部を管理する塔へと生まれ変わった。最後はハッピーエンドである。余談であるけれど海外から日本へのエアラインの伝達は「フクオカ」と言うそうだ。これは雁の巣さんが今も頑張っているからだろうね。これらの歴史は仕事上、色々知ってはいたけれど、芝居で見るとうん、何だか違う。ああ、行って良かったなと思った。こちらがギンギラ太陽’SのHPです。http://www.gingira.com/