テーマ:オール台湾!(1573)
カテゴリ:旅行
故宮博物院にはただ行くのではない。
「バスで行く」というのが私的リベンジポイントである。 故宮博物院は台北のちょっと郊外にあって、MRT士林駅前からタクシー又はバスに乗らなければいけない。 私は前回の初台湾旅行でもバスに乗って行ったのだが、「故宮の正面入り口まで横付けしてくれる唯一の紅30のバスの乗り場」と「故宮から帰る時に下りるバス停」が分からず、バスで故宮を完全にマスターしたとはいえない状態なのであった。 再度チャレンジするからには、紅30(R30)のバスに乗りたい。 私は昨夜から友人Iに高らかに宣言していた。 タクシー利用もいいのだけれど、お茶屋さんやお土産物屋さんに連れて行かれるなどのトラブルもあるらしい。夕方、女二人で利用するのはちょっと避けたい。 私は事前に紅30の路線図までプリントアウトし、台湾旅行初日からバス用の小銭(台湾のバスは両替できないし、おつりが出ない)、この日に臨んだ。 紅30の路線図:http://yoyonet.biz/egoing/bus/beichi/mrt/r/030-1.htm MRT構内には「バス停がどこにあるか」の案内板があるので、それを確認しておく。 故宮へ行く「255、304、紅30」のバス停は、全て北側の改札を出て大きな通りの右手にあった。 既に何人かの人が並んでいたので私もそれに従う。 友人Iが「飲み物を買っておきたい」と言うので、すぐそこにあるコンビニに一人で行かせた。地下街でも「はぐれたらこわい」と腕を組みたがるIを単独行動させるのは少し心配だったけれど、私の頭の中は「バスにちゃんと乗る」ことでいっぱい。 私は一人バス停で、各種の表示や次々と来るバスをにらみつけるようにして観察していた。鬼気迫る観光客である。 5分くらいすると、255のバスが来た。私の前に並んでいる人が手をあげてバスを止めてくれる(台湾のバスは手をあげないと止まってくれない)。 うーん。紅30のバスが何分間隔で運行されているのか分からないし、これに乗ってしまおうか。 私が悩んでいると、ちょうど友人Iが戻ってきた。よし、乗ってしまおう。 来たバスには「下車収票」と書いてあるので、下りる時に支払う形式だ。 バスはまあまあ空いていて、離れれば座れそうな様子である。 初日から大事にとっておいた5元のコインと10元のコインを友人Iに渡しておく。 MRT士林駅から故宮博物院までは、いくつか学校があるようで、学生さんと地元の人が乗客のメインだった。 私が一人席に座っていると、横に立っていた女子大生風の人の楽器ケースがころんと倒れた。 台湾語で何か言ってくれるのだけれど分からない。思いっきり日本語で「大丈夫ですか?ここに置きますか?」とおせっかい系の返事をすると、「アア、日本人ですか!大丈夫です。ありがとう」と彼女は驚きながらも、ちょっとぎこちない日本語で返事をしてくれた。 MRTの中でも日本声を勉強していた女の子がいたし、前回バスにのった時も日本語を復習している女子高生がいた。本当に日本語学習者が結構いるんだなと改めて思う。 255バスの路線は、印刷してきた紅30のとは少し異なる。少々不安であったが「どう見てもここが故宮博物院です」というバス停に到着した。結構たくさんの人が降りる。 さあ、15元を払って下車するぞ!と思ったら、友人Iが「5元コインが消えた。ずっと握っていたのに、今手を開いたらなかった」と言う。 イリュージョンか。そのうち腕から出てくるんじゃ・・・と軽口を叩きながら、急遽30元を用意して、運転手さんに「これ、2人分ね」とアピールして無事支払いを済ませた。 明るく親切な運転手さんで「ああ、問題ないよ!」みたいに対応してくれてよかった。 紅30のバスではないので、ながーいアプローチを強い日差しの元、延々と歩かなければいけない。長い階段もあって、なかなかハードだ。前回来た時は夏至の前後という超蒸し暑い季節だったので私はここで倒れそうになった。まあでも今回はそれほど暑くないし、友人Iは景色も楽しめたのでよかったよと言ってくれる。 ようやく建物内に到着。私はインフォメーションカウンターに直行して紅30のバス乗り場と、時刻表を聞き出す。 英語も日本語もまあ通じるけれど、こういう時は筆談が便利だ。 今日の午後5時からは、故宮が無料開放で、それに伴って、ミュージアムショップもバスも長く運行しているらしい。 紅30の乗り場は、1階の出口を出て少し左に行ったところにあった。ミュージアムショップの前にあたる。毎時20分間隔で、最終は21:00とのこと。 これでゆっくり心置きなく、故宮博物院を楽しむことができる。 友人Iと私は、日本でもよく一緒に美術展に行くが見るペースが異なるので、美術館の中ではいつも別行動。入り口で再集合するってのがパターンだ。 でもそれをやるのに故宮は大きすぎる。1ブロックみたら、その入り口で集合というルールにした。 二度目とはいえ、故宮の展示品にはやはり心を奪われる。細工もすごいし、この膨大な品々を大陸から運んできたということもすごいと思う。時代による工芸のトレンド遷移も興味深い。 私は明の時代の白地に紺模様の陶器が好きだ。Iは宋のシンプルなのがいいと言っていた。馬だか犬だかわからない、ちょっとマヌケな置物を家に置きたいと言う。 そんな中、清の時代の鮮やかな陶磁器はひときわ目立つ。西太后が好んだと言う香水瓶なんかは洋風で、じみーな伝統的陶磁器に囲まれて育ったら「きゃー」と我を忘れて心奪われてしまうと思う。女子ならば。こんな小さくてきれいな物をもらったら「領地の一つや二つ自由にしてよいわよ」と言ってしまいたくなるだろう。 すっかり姫気分で国宝級の品々を品定めしていたら、友人Iとはぐれてしまった。 待ち合わせ場所に二度三度と足を運ぶのですが、彼女が見当たらない。 こうい時、せっかちな私は一箇所でじっと待つということができず、捜しまわってしまう。 彼女は赤みのかかったオレンジの上着を着ているのだが、赤い服を着ている人が多くて、何度もがっかり。中華圏の人って本当に赤色が好き。夫の同僚の香港人も、パソコンのディスクトップまで赤色だと言っていたな、とピンチな時ほど脳は余計なことを考える。 廊下にも出て探し回った挙句、もう一度待ち合わせ場所に戻ったら友人Iを発見。 ああ、よかったー。 反省して、気分を変えるためにお茶をすることにしました。 目指すのは4階にある茶芸館「三希堂」。 ここへは、博物院の正面奥・中央にあるエレベーターか階段でしか行けません。 前回夫と来た時はそれが分からず迷ってしまいましたが、今回はスムーズに案内できます。 前回来た時、そのインテリアなどに感動して「ここは友人Iが絶対に好きだ」と思ったので絶対の自信を持ってのご案内。 今回は土曜日だったせいか、琴の生演奏なんかもあって、案の定友人Iにもとても喜んでもらえました。私は精神安定によいという蓮の花のお茶をセレクト。 15:30までの点心をいくつかと、デザートは友人Iに選択を一任。メニューには日本語も添えてあるので分かりやすくてよいです。 飲茶は1品150元から200元ぐらい。お湯のおかわりも次々と持ってきてくれ、ゆったりとくつろぐことができます。お茶2人前と、点心を5品で、2人で660元(約2000円弱)。台湾物価的には高いのかもしれませんが、美術館の付属施設ってどこでも高めなのが相場だし、雰囲気もサービスもよいので満足です。 ここの窓際席は、日本人でいっぱい。 このお店に来るということは、ツアーではなく個人で故宮まで来たということです。 そんな場所で何が始まるのかというと、各グループのリーダーによる「旅知識自慢合戦」および「私達、旅をエンジョイしてます合戦」。 私たちが注文したお菓子を見て「あれ、地球の歩き方にのってたお菓子だわ」とつぶやいてみたり、「ツアーで来ている人達、すごい勢いで見て去っていったね。あれじゃあ記憶に残らないんじゃないかしら」とツアー客を見下してみたり、「ここの点心、高っ!昨夜の屋台だったら10人分の値段だわ」と大声で騒いだり。皆様、自意識が駄々漏れでございます。 店員さんのちょっとしたミスをすごい勢いで怒り「日本じゃ考えられないっ」と騒いでいる人もいらっしゃいました。 まあ、私もデジカメで写真とか撮っているのであまり人のことは言えませんが。 お店は17:00までやっているそうですが、「点心は15:30まで」とはどこにも書いてなかったので、これから行く人はちょっと心にメモっておくとよいと思います。あと、エレベーターは博物院奥の中央のだけですよ(しつこい)。 その後もゆったり見学して、ミュージアムショップでお土産を買って、17:00少し前に展示室を後にしました。 ちなみにミュージアムショップは、有料エリア内にも数箇所あります。 翡翠の白菜のレプリカとか、豚角煮のレプリカとか、ガラスケースの中に展示してあります。結構お高く「こんなの一体誰が買うんだろう」と思っていたら、友人Iから「両方買っている人がいる!」と通報が。物見高い私は「どんな人が買うんだろう」とわざわざ見学に出かけました。 中国か地方から来たっぽい(言葉が中国語だったけれど店員さんと微妙に意思疎通できていなかったこと、ツアーバッジをつけた服装などから判断)中年の男性が、例の2つを包んでもらっていました。 彼はきっと自宅の書斎にでも飾るのです。そして家族や友人は彼に何度も説明を聞かされることになると予想しました。 今回の見学では、前回と違って、仏像に心を動かされました。 どことなく息子の最後の顔に似ている表情の仏像もあったり。 仏像ってどれも背筋が伸びていて、全てが終わったような表情をしています。腰から下の部分は上半身ほど写実的でない。ふと、人生を終えて横たわっている人の表情や様子を表しているように思えました。 そう思って見ると、子供を抱いた菩薩像なんて泣けてしまったりして。 いつまでも見ていたのですが、この日は17:00から無料開放。すごく混雑することが予想されます。 友人Iと待ち合わせたミュージアムショップで合流すると、17:00からの開放を待つ人がロビーに溢れていました。なにやらイベントもあるみたい。 バス停を覗いてみると、紅30のバスが既に来ています。 さあ乗るぞ、念願の紅30! バスは新しい車体のようで、ディスプレイが車内に4つもあり、アニメメーションのCMを流しています。バス停の名前も、漢字だけじゃなくって英語でも表示があり、英語のアナウンスもありました。 明らかによく分かっていない様子の白人バックパッカーも、MRT士林駅できちんと下車していきます。ここはMRT駅の手前にバス停があるので分かりずらく、私は前回乗り過ごしたと言うのに。なんだかくやしいので、このままバスに乗って終点まで行くことにしました。 このバスは(路線図によると)科学教育館などを回った後、士林夜市の外周をぐるっとまわって、MRT劍潭駅まで行くのです。 台湾に来たら士林夜市ははずせない観光スポットのようですが、人込みが苦手な私たちに大混雑する週末の士林夜市は無理っぽい。そこでバスの車窓から見学することにしたのです。 地元っ子っぽい女の子達は終点手前の「士林市場」「海洋館」などの駅で降りて、夜市に突入して行きました。 終点が近づき、バスに乗っているのは私達だけ。少し心配そうなバスの運転手さんに、MRTの駅を指差して「あそこで下りるのだ」と意思表示。 バス停はMRT駅の東側という思いがけない場所にありましたが、無事下車。 15元の大冒険は終了です。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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