テーマ:天使ママとして想うこと(441)
カテゴリ:喪失と再生
とうとう12月がやってくる。
カルテの開示請求は入院した日から5年以内に行わなければならない。 カルテの保管期間が5年間と定められているからだ。 息子の入院期間は12月の末から約1年間。私に残された猶予はあの日から約4年間。 再びあの病院に足を運んで、感じの悪い受付とやりあい、おそらく神経をすり減らすやりとりを行う。そんなことが私にできるようになるのだろうか。 いや、できるようにならなければいけない。 私自身にとっての社会復帰の目標は職場復帰だったけれど、子供を失った母親としての目標は「カルテの開示請求ができるようになること」だ。 息子はクリスマスイブの前日に入院したので、毎年街にクリスマスムードが高まるとカルテ開示までの期限を意識するようになる。今年はいよいよ本番の年だ。 毎年恒例の病棟の子供達に送るリボンを購入して、梱包し、同封する手紙を書く。あて先を書く為に息子の診察券を久しぶりに取り出した。病院の住所と電話番号が書いてある。先延ばしにして期限のぎりぎりになってしまうのは危険だ。今日やってしまおうと思い、意を決して病院に電話する。 20コールしても誰も出ない。電話番号が変わってしまったのかと思いネットで調べるがそうではない(なぜか公式HPには病院の電話番号が載っていない)。 気を取り直して再度電話する。再び長く長く待った後、ようやく代表受付の人が電話に出た。 「カルテの開示請求について聞きたい」と言うと「本人か?」と聞かれる。 本人が電話をできるわけがない。遺族であることを告げると無言で電話が転送された。しばらくたって「取次ぎ先が出ないからしばらくしてからかけなおしてくれ」とめんどくさそうに言われる。この口調。息子がなくなった直後に電話してきて入院費用を払えと乱暴な口調でのたまった人だ。間違いない。 また電話をしてこの人と先ほどのやり取りをするのはごめんだ。 私が「では取次ぎ先の名前か電話番号だけでも教えてください」と言うと、彼女はめんどくさそうに「じゃもう一度かけてみますから」と言い捨て、電話は再び保留状態になった。ほんの数秒後、いきなり異なる男性が「はい」出た。 彼女は本当に転送をしたのだろうかと疑う自分がいる。 男性に代わってからはスムーズだった。 私の病院の場合、カルテの開示請求には以下の2点を持って「病歴管理室」に出向く必要がある。 □申請者本人の身分証明書 □申請者と患者の関係を示すもの (母子手帳は不可、戸籍抄本など公的文書で) 手数料はコピー代として1枚20円が必要とのことである。 申請後、医師に確認を行い、後日カルテのコピーが渡されるとのことだった。 「入院期間が長いので量が膨大になると思う」と申し出たら、「この期間だけ欲しい」とか「医師のコメントだけ、看護師のコメントだけ」と範囲を指定することも可能だと言う。 また、請求は最後に受診した日から5年間と教えてもらった。 なんだ。だったらまだ1年と4ヶ月は猶予がある。私は気が抜けるのを感じた。 丁寧にお礼を言って、彼の名前と直通電話番号を教えてもらい電話を切った。 やっぱり消耗した。やり場のない怒りを感じるが、当初予想した範囲内だ。 カルテを見るとまた消耗するのだろうけれど、息子の貴重な記録を消失させてしまうことは忍びない。これは私がやらなければならない仕事。 まだ課題は山積みだし、いっぱいやるせない想いを感じるのだろうけれど、なんだかやりとげれそうな気がしてきた。 できれば年内に申請を済ませてしまいたい。 電子データで欲しいところだけれど無理なのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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