「あなたは、今も覚えていますか?あの日のことを」
毎月、必ずやってくる生理。
どの月も例外なく、私の気持ちを沈ませる。
しかし、毎年この月のそれは、特に私をひどく鬱にさせる。
それは一生消すことの出来ない『罪』のせいか―
私の腹の中で暴れる赤い悪魔と戦うべく薬を飲んだ。
成分の半分が優しさで出来ている、という薬を。
偽善と思われても良い。
私が元気でいることによって、少しでもあのコが笑えるように、と。
アイツと別れて、もう直き3年になる。
何度か浮気をされたが、それでも必死にしがみ付いていた。
それは、好きという感情からではない、と今の私は思う。
私が『アイツ』に固執させた理由は、きっと調度10年前の出来事。
それが長い間、『アイツ』と私を繋ぎ止めていたのだろう。
私一人で、一生悔やみ続けたりはしない。
お前だけ忘れさせやしない。私を見る度に思い出すが良い、そんなところだろう。
こういったことを経験したカップルの何割かは、
そのようなドロドロした感情を腹に抱いて、繋がっているのではないだろうか?
そうではない、純粋な恋愛感情で繋がっているカップルだって、きっと大勢居るのだろうが―
もし、これから過去の私達と同じ行為をするつもりのある方は、もう一度考えて欲しい。
命を粗末に扱ったという重い十字架を背負って、生きていく覚悟があなたにはありますか?
承知の上のことでしょうが、これから行おうとしている行為は、今後あなたを苦しめ続けます。
たった数分間の出来事で、彼女の、あなたのカラダだけではなく、ココロをも深く傷付けてしまうのです。
そして、それは死に至らしめるほどの破壊力を持っています。
心の弱い方であれば、尚更―
私は想像の中で、何度も自分自身を殺した。
自分の心臓に深くふかく大きなナイフを突き刺して。
実際に死のうとしたことも何度かあったけれど、今も生きている。
死んで償うよりも、私自身が覚えていて生きている方が、きっと償いになると思ったから。
子どもを産み、あのコに与えられなかった分の愛情を注いで立派に育てるあげることが私が出来る償い。
偽善だと笑ってくれて良い。それで良いよ。
あなたと私は環境も考え方も違う人間なんだから。
私がそうすると決めたんだから。
私は今年も、あの日のことを夢に見た。
赤い悪魔が腹の中で暴れる痛みと、あの日の痛みがシンクロして跳ね起きた。
だけど―
記憶は薄らいでいってしまうものなんだね。
辛い、悲しいと思っても、あの痛みを覚えていても、あの時ほど激しく泣いたりはしない。
この先、何度も夢に見ることはあっても、あの時ほど―
年々薄らいでいく記憶。
それでも私は死ぬまで覚えているのだろう、あのコのことを。
ねぇ、あなたはあの日のことを覚えてる?
私が病室で激しく泣き叫んだ、寒い冬の日の出来事を。
私は今でも覚えているよ。
あの時ほど鮮明ではないけれど、痛みも悲しみも…