テーマ:徒然日記(23480)
カテゴリ:to kill time
春の選抜高校野球が始まってから、ほぼ毎日のように見ている。
昔は…3年ほど前までは、自分から進んで見ることなど殆どなかった。 しかし、それは少年野球のコーチを務めるほど、野球好きの彼の影響ではない。 チャンネルを高校野球に合わせると、そこに祖父が居るような気がするから、私はそうするのだ。 小学生の頃は、TVで中継される高校野球など大嫌いだった。 春休みや夏休みに母の実家に遊びに行くと、祖父は必ずそれを見ていた。 恐ろしく田舎にある母の実家では、遊ぶ施設はない。山を登るか、川で沢蟹を捕るかしかなかった。 道具のない外で遊ぶ方法を知らなかった私達は、毎日退屈していて、常にTVの前を陣取っていた。 することのない私達は、アニメを見たがった。しかし、いくらチャンネルを変えても祖父が元に戻した。 「俺がTVを見るんやけ、退いちょくり」 アイスや甘いものを片手にそう言う祖父に、すごすごと陣取っていたTVの前から退いたものだった。 私達を退かしてから、さも満足げな顔をして、ニコニコしながら高校野球を見ていた祖父。 その姿を従姉妹達と仏間から恨めし気に覗き見ながら、鬱陶しい、迷惑だと思っていた。 自分達の見たい番組が見られない。だから、高校野球が大嫌いだったのだ。 あれから何年もの歳月が流れた。 昼間は高校野球、夜はプロ野球。 畑に居る間は、大きな古いラジオを持ち出してまで、野球中継を聴いていた。 そんな祖父が野球好きだったかどうかは知らない。今となっては、訊くことさえ出来ない。 何故なら祖父は、3年前に他界してしまっているのだから― 今になって思う。 山に電波が阻まれ映る番組数の少ない中で、祖父にとっては娯楽番組だったのかもしれない、と。 ルールは知らずとも、球児達の懸命な姿に胸を熱くさせながら見ていたのではないのだろうか、と。 今日も私は高校野球を見る。傍で祖父も一緒に見ているんじゃないか?そんな錯覚を覚えながら… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 28, 2007 09:11:01 AM
[to kill time] カテゴリの最新記事
|