最終回です
最後の最後までへんしゅうちょうです。 北京で最後に何か書きたいと思っていたんですが、結局書く時間がありませんでした。船に乗る前日、天津で1泊し、13日の11時に天津を出港しました。 成都を出て天津まで途絶えることなく、成都で出会った人たちがついていてくれました。ウルムチから北京まで一緒に旅行してくれた○田君、敦煌で遊んだ○メちゃん、○のりさん、○クさん、北京で会った火鍋隊老北家さん、北京・天津まで来てくれた○希子。 そして、燕京号に乗り、とうとう一人になってしまいました。 船のなかでは一人物思いにふけり、ほとんど誰ともしゃべらずにいました。考えている以外の時間は睡眠、食事。誰ともしゃべらない自分はほかの人からやや奇妙に見えたことでしょう。 神戸まであと2時間、という頃、ふとデッキに出てみたくなり、デッキ最上部の先頭へ行ってみました。穏やかな瀬戸内海を走る船。目的とする場所はあるものの、海の上に道はありませんでした。そしてデッキの最後部へ移動し海を見ると、船が通った後に青白く波ができています。道のように。 この道を自分はたどってきたんだなあ、とちょっと感慨にふけりました。成都で万年筆にインクを吸い込ませ、その万年筆で神戸まで線を書いてきたように思えました。 この道は自分で作ったものだ、でも、その先には道がない。ただ、目標とするものはある。それが成都で得たもので、これからはそれに向かって進もう。道は自分で作れる。 そう思いつつ、最上部のデッキを後にし、その下のデッキでしばらく海を眺めていました。すると、いつの間にか同じくらいの歳だと思われる男の人が隣に立っていました。彼は自分に話しかけてきました。「あの島は何ていう島ですかねえ」「…淡路島ですか?」「その向こうは四国でしょうかね。大きいですね」「そうでしょうね」「…もうすぐですね」「…そうですね」 彼はそれだけの会話で去っていきました。 もうすぐ日本に着くんだ。船に乗って初めての会話らしい会話で、もう日本に着くんだということを実感しました。 まもなく船は神戸港に入港しました。約9カ月前、出港した場所とまったく同じところへ。出港したときの様子はまるで昨日のことのように覚えています。時が経つのは本当に早いものです。充実した時間が過ごせたからこそ、さらに早く感じたのかもしれません。 16時過ぎ、イミグレを出て、日本の土を踏みました。なぜかこんなときになってこみ上げてくるものがあり、必死で上を向いていました。 三宮の駅で夜行バスのチケットを買いました。明日の朝には東京に着きます。でも、東京に着いても帰る家はなく、迎えてくれる人もいません。それでも、まあ、なんとか生きていきます。 明日からは新しい生活が始まります。--------------------------------------------------------------今日まで「成都世界」を見てくださった約24000クリックのみなさま(自分もいくらか含みますが)、今日で更新は最後にします。本当は帰国後仕事が見つかるまで続けようと思っていたのですが、帰国というキリのいいところでやめようと、今日ふと思ってしまいました。約1年9カ月このブログを続けてこれたのも、このブログを見てくださったみなさまのおかげだと思っています。リンクをはっていただいた各サイトの管理人様、ここで失礼ながらご挨拶の代わりとさせていただきます。ありがとうございました。そして、成都で出会ったみんな、旅先で出会ったみんな、日本で帰りを待っててくれているみんなに感謝します。みんなのおかげで、素晴らしい留学生活を送ることができました。更新は今日で最後にしますが、コメントに対する返事は随時書かせていただきます。このブログをまったく消去するつもりはありません。また、へんしゅうちょうのその後の状況は、近い将来、新しいサイトを作ってそちらで垂れ流そうと思っています。その際は「成都世界」別館のトップページにリンクをはる予定です。最後になりましたが、このブログを読んでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。またどこかで会いましょう! それでは!