Chesapeake's ワシントニアン日記

しばらく音沙汰がなかった最愛のイトコＫが仕事中にオンラインになった。
ここからイラクは8時間の時差。

思いきってチャットを送信したらすぐに返事が返ってきた。
彼もイラク遠征のわりには特殊なのでインターネットとか不自由が
少ない(?)ようだ。この間もいきなり背広姿でパリに飛んでいたし。
未だにズルイと思うが、いったい何をしていたんだろう?

私 「Ｋ?」
Ｋ 「なぁに?」
私 「アリーが来年の3月下旬にハワイで結婚式をすることになったの」
Ｋ 「Cool!」

アリーはイトコ達までの家族の範囲を招待したく、それぞれのメンバーの中間地点(ホームベース)のハワイに帰ることを話した。

私 「どう? 行けそう?」
Ｋ 「無理・・。行けそうにない(涙)」

私 「ホント?」
Ｋ 「延長されるかも知れないんだ。4月まで」

私 「えぇぇ? 今年の4月には帰ってこれるハズじゃ・・・! ちょっと待って」

やりとりしている内に、Ｋが勘違いしていることに気づいた。

私 「あのぅ～。来年の3月なんだけど」 (なにやらタイプしている)
Ｋ 「なんだ～! (笑)」

びっくりしたのはこっちである。一年半も彼は遠征に行ったことが無い。
陸軍や海兵隊ならよくあるパターンだが、特殊隊は危険も大きい気がする。

Ｋが6ヶ月以上もイラクやクエートにいたら、こっちがストレスで死んでしまう
可能性が大きい。(冷汗)

それほど目に入れても痛くないほど可愛がっていたイトコなのだ。(過去形)
それを言うなら、Ｋに可愛がられているのは私かも知れない・・。(現在形)
最近は立場が逆なような気がする。でも頼られているのは昔と変わらない。

私 「じゃ、アリーには来れそうだ、と伝えるわね」
Ｋ 「うん。チェサピーク、忘れないように僕に確認入れてね」

という様に結婚式の招待と返事の交換をチャットでしてしまった。
でも、ハワイでの挙式の招待と返事がワシントンとイラク間で出来るなんて
インターネットには大感謝。

実はＫがチャットで最初に返事をしたのは最近なにをしているのか、の質問
に、「海軍特殊隊SEALを抜けようか迷っているんだ」との答え。

もしかして、コントラクターとして儲けたいからなのか、と訊くと、
「うん」。

イラクでコントラクターとして仕事すると、政府から月240万円程の報酬
が出ると言う。ひと月! 生命保険をそのまま頂いている様なもの。

危険だから止めて、と言うと、
「今は独身で子供もいないし、稼ぐなら今のうちだから」。

まぁ、確かに結婚して子供がいたら自らそんな危険なことはしないだろうとは
思うが、コントラクター誘拐・脅迫・殺人事件で盛り上がっていたニュースを
覚えている私にはとんでもない話。

Ｋから考えると、特殊隊に残ったら離婚率も90%、幸せになれないと思っている
のだろう。将来の希望と幸せのために少しでも蓄えを、と思っているのだ。

切ない悩みなのだが、相談されアドバイスする側にとっても胸が痛い。
運命は分からない。自分の人生は自分で切り開いていく、という信念も分かる。

Ｋの様に戦場にいる者たちにとって、「今を生きる」「今をエンジョイする」
なんていうフィロソフィーはありえない。

結論はともかく、Ｋには幸せが訪れることを信じたい。