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2006.09.05
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8月、終わりましたね。

今日から、息子の学校も始まりました。
最終学年の6年生。

夕べは少し緊張していたようです。
夏休み中、テニスに明け暮れ
英語はご無沙汰でしたから。舌がもつれていることでしょう(笑

で、8月、日本から両親が
遊びに来ていました。

そう、以前にここの日記でも話をした
「脊髄小脳変性症」と戦っている母です。

日本ではまだ、車椅子を使ったことはなかったそうです。
車椅子に頼ってしまうと
とたんに足が弱くなってしまうそうで、
自力で歩ける限りは
なるべく歩きたいとのこと。

家の中は、お風呂場だの、リビングだの、
バリアフリーに作り替えて
家中に手すりをつけ
心地よい生活を送っていましたが
孫に会いたい一心で
はるばるやってきました。

父と事前に相談していました。
「ロンドン生活で、車椅子使ってみるかなあ?」と。
母の気を悪くさせてはいけないと思いつつ
せっかくの観光も、なるべく広範囲で
楽しんでもらいたいと思い、
到着後の母に打ち明けました。
日本よりもバリアフリー環境が整っているロンドンならば
快適だろうし、車椅子に対する抵抗も減るのではと思ったからです。

「気軽に車椅子は借りれるんだけど、どう?」

意外にも母の返事は「お願いできるかしら?」でした。

到着のヒースロー空港で
かなりの距離を歩いたらしく
疲れきっていた母には、車椅子を
使ってみようという勇気が出たようでした。
また、海外という場所で、周りの目を気にすることもないということで
使ってみる勇気がでたようでした。

車椅子は簡単に借りることができました。特に何かの証明がいるわけでもなく
1週間35ポンドという金額でした。

早速、借りてきて母を乗せて
父は近所を「試運転(後ろから押すだけだけど・・)」してみました。
車酔いにならないだろうか、落っこちないだろうか、と
不安になりつつも、
母は「快適ねえ・・・♪」と楽しんでいました。

その後、滞在中はこの車椅子のおかげで
母はいろいろな場所を楽しむことができました。

ただ、私の勝手な印象ですが
意外とロンドンの街中の駅には
「エレベーター」が少ないということでした。
ゆっくりであれば、母は歩けるので
幸いでしたが、「車椅子でこの駅を出られますか?」と
駅員に尋ねても、
「エスカレーターがありますよ」の返事。
エスカレーターが車椅子利用者に正しい乗り物なのか、と
疑問があがりました。

介助の人間がいればまだ、済むということもありますが
ロンドンの街中を見ていると
電動の車椅子に乗りながら一人で出かけている人も
少なくありません。
そういう人たちは、どうやって移動しているのか。
行動範囲は必然的に狭まれるのでは、と思ってしまいました。

母にとっては、エスカレーターのスピードも
かなり早く感じられるそうです。
今回、母を車椅子に乗せることで
様々な「不適切」を家族みんなも感じたのでした。

でも、タクシーは広々しています。
乗るときもも降りるときも
威勢のいい運転手が
助けてくれました。
2階建てバスも、乗り込むときには
スロープが出てきます。

街中では多くの人が
道を開けてくれたり
「手を貸しましょうか?」と
声をかけてくれました。
中でも、バックパッカーのような
若者が多く声をかけてくれるのには、嬉しかったです。

そのたびに母が元気よく
「Thank you!」と
答えている姿に
母の強さを感じました。

父は周りに気遣い、精神的に疲れてしまったようですが
今後、日本でも少しずつ、周りの人を
いい意味で巻き込んで「快適」に生活ができたらな、と
思います。

帰国時のヒースロー空港にて、
行きの空港内での母の苦労を反省して
事前に航空会社に「車椅子の使用」を依頼しておきました。
チェックインカウンターが別でした。
スムーズな対応の後、若い女性が
介助のために、車椅子を持って現れました。

彼女が飛行機に乗るまで、介助してくれるとのこと。
出国のルートも車椅子専用の別ルートでした。
早々に、私は別れなければいけませんでしたが
介助の彼女に「免税店に1件だけ寄ってあげてください」と
お願いし、彼女も快くOKしてくれて、
無事に大好きな紅茶を購入して、飛行機に乗り込んだそうです。
飛行機に乗り込む時には、電動の車椅子に乗り換えて
進んだそうです。

帰国して、自宅に着いた父が興奮して電話をしてきました。

「びっくりしたぞー。日本についたら、もう、車椅子が
待っていたんだよ」

私は、ヒースロー空港内の車椅子使用しか依頼していなかったのですが
なんと、成田空港では、事前に航空会社から連絡をもらっていたからと
飛行機を降りてくる母を、車椅子と介助の方が待っていたそうです。

そして、スムーズに入国手続きも済ませ、空港を後にしたそうです。
また、ここからがびっくり。
電車の駅が実家に近いことから
父は「成田エクスプレス」の利用を選択していましたが
なんと、そのJRの成田の駅にも、
次なる車椅子がちゃんと待っていたそうなんです。
「誰が連絡してくれてるの???」と思いつつ
JRの職員さんの温かい介助のもと
成田エクスプレエスにも乗れ
その後、乗り換えたローカル線でも
JRの職員さんが、待っていてくれたというんです。

私、偉そうなこと言ってしまいますが
「まだまだ日本は捨てたモンじゃない!」って
すっごく、思いました。
いやなニュースを聞いたり、冷たい人の話を耳にしたり、
最近、日本を離れているせいもあって、悲しいイメージがすごく大きかったのですが・・・。

もしかしたら、車椅子使用の方への介助は
まだまだこれからの分野で、今まさに
日本中の人が注目をして、実践しようと、試みているのかもしれません。
そんな中、私の両親は本当に
素敵な、気持ちのいい
介助を受けることができたのです。

父は相変わらず、「申し訳ないほどの手助けを受けてしまって
恐縮してしまったよ・・」と
疲れたようですが
日本の駅には、エレベーターもたくさんありますし
これから、どんどん住みよい環境に
変わっていくのでは、と思いました。

この場を借りて、すべての手助けをいただいた方々に
お礼を申しあげます。
本当に、ありがとうございました。

以前、ニュースで
駅員さんに無差別で暴力を振るう
乗客が増えていると聞きました。
だめです。そんなことしては。
彼らは一生懸命、働いてくれています。
更なる向上を目指してくれていることは
確かなのです。

みなさんで気持ちのいい世界を創りたいですね。

ということで、車椅子をお使いのみなさま、
どんどん、出かけましょ!
私たちが手助けいたします!ね♪










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Last updated  2006.09.05 20:17:45
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