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カテゴリ:愛読書
130.仮想儀礼(上&下) 信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる―作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、若者は退屈しきっている。宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。古いマンションの一室。借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは…。 失業者二人がてっとり早く儲ける方法として軽い気持ちで立ち上げた新興宗教。 最初は順調に事が進んでいき、順風満帆に見えた運営だったが 次第に自分たちの思わぬ方向に進んでいく歯車を教祖の主人公正彦にも 止めることが出来ない。 前半は宗教にまつわるお金の流れや政治なんかがメインになってるけど 後半の堕ち方がすごいです。 あれよあれよという間に作り上げられていくカルト教団。 あれほど始める時に、カルトな集団にはならないように気をつけたはずだったのに 人の心ほどどうにもならず恐ろしいものもないですね。 900ページの長編ですがあっという間に読んじゃいました。 自分自身は宗教には今のところ興味はないけど、人は何か心の拠所とか熱中出来るものが ないと生きていく意味を見つけられなかったりするわけで、それが 仕事の人もいれば趣味の人もいて宗教の人もいるのではないかと思います。 狂信という意味がわかりやすく描かれている作品でもあります。 ラストも何とも不気味で好きな終わり方でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月25日 17時26分05秒
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