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カテゴリ:愛読書
あるキング 178.あるキング 天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。 山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。 王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって語られる。わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。 今までの伊坂さんの作品と比べるとかなり毛色が違います。 でもこれはこれでなかなか私は楽しめました。 まず野球とシェイクスピアという驚きの組み合わせがなんともいえない ファンタジー色を出していて上手いなあと。 (シェイクスピアを読んでないと面白さがちょっと減ってしまうかも・・・) ただ小説を読んでるというよりは戯曲を読んでるって感じがしないでもないけど。 王求の親もまともに読むと「この親やりすぎ」ってなってしまうけど ファンタジーだと思うとこれもありだよなあと。 舞台が結構現実的なのでその現実と非現実のバランスを自分の中で うまくとって読まないと変な方向に流されてしまうかも・・・。 ちなみに野球の知識は全然なくても大丈夫です。 ずーっと冷静で王たるべき道を歩んできた王求の最後のバッターボックスの 場面は静かながらも熱い余韻が残りました。 野球をするために産まれてきてただ淡々と自分がなすべきことをしてきた王求。 王というのはいつも孤独なのでしょうね・・・。 最初から悲劇へのカウントダウンを感じながら読んでいたので その割には救いのある読後感でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年10月16日 16時47分38秒
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