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カテゴリ:アルコール
信長が命を狙われている、という噂が立っている。
最初は叡山に通じる公卿衆の間で密かに囁かれた。 「あの焼き討ちの信長、まさか畳の上では死ねまい」 天正四年、己の勢力に抗する浅井、朝倉勢と結んだ叡山を信長はまず攻撃したのである。 結果、叡山の伽藍は全て焼き討ち、僧千八百人が掃討された。 後に信長に謀反を起こした明智光秀も謀反を考えるようになったのはこの事からという。 叡山焼き討ちで生き残った者は諸国に逃れたが、その中で最も多かったのは甲斐の武田信玄のもとであった。 理由がある。奇妙な話だが、この戦国一の大名は熱烈な坊主好きであった。 自ら金銀を裂いて僧戒を買い、法正院大僧正信玄と名乗り、坊主になっていた。 叡山焼き討ちの後、甲斐に落ち延びた僧侶が多数いたのである。 信玄は好意を見せた。天台のお山を甲斐にもってきても構わぬ、という姿勢である。好意ではあったがこれには叡山側が断るのに苦労したという。 しかしこれには十分な意味を信玄は与えてもらっていた。 今や京に駐留し、畿内まで席巻しようという織田勢を撃つ十分な名目が与えられた、と考えたのである。 「刺せ」 知道軒道人という。すでに伊賀甲賀の間で伝説的な忍びの名人と言われていた存在である。 これを選び、すぐさま京の信長の下へと派遣している。 しかし、不思議な物で、殺される本人には話が通じるのが遅いものらしい。 信長がようやく噂を聞いたのは天正五年、正月に松平家康によってであった。 「まさかとはありますがおぬかりはないでしょうな」 信長は短く答えたが、顔色は青くなっている。 後の天正伊賀の乱の時の「化生の者は無論、女子供、走狗といえども皆殺しにせよ」という苛烈な命令はこの時の恐怖と嫌悪に端を発している。 「草」を呼んだ。織田家では雇いの伊賀甲賀の者をそう呼ぶ。 天正、元亀の年間においてはどこの家でも忍は武者扱いにはされない。あくまで下人、下賎の扱いである。 「おらぬか」 しばらくすると座敷下から身の丈4尺あまりの小男が這いずりだしてきた。まずその面相が異様であった。 歯がない。 眉毛がない。 片目もつぶれているようだった。 「九郎兵衛だったか」 「御前に」 「知道軒の話は」 「恐れながら」 「殺せ」 頭から路銀が降ってきた。 信長の命令は簡単である。「殺せ」「潰せ」の二種類しかない。 恐ろしいのは簡単な命令であるがゆえ失敗が出来ぬことにある。 信長は猫歯九郎兵衛ごとき下賎のものは人間とすら見てはいない。 由来、伊賀者に主従関係はない。応仁の乱以降、血で血を洗った室町戦国を一種の惣国として乗り切ってきた。 郷士が団結し、他国領主侵攻を許さなかったのである。 戦法がまず奇妙で、他の戦国大名にあるように部隊を組むなどはしない。 平城に篭るのである。敵勢の被害は主に夜、甚大であった。 自陣の守備勢がきがつかぬうちに火の手が上がる。 守備兵士がどことも知れず刺し殺されている。 挙句は馬、槍、兵糧の類まで盗まれている。 惣国制で郷士がいるが、それぞれ威を張っているためどれに話をつけていいかわからない。 それが伊賀であった。 あるとすれば上忍、下忍の関係のみである。 そのため戦乱期を侵略されずに守った。自国で郷士それぞれが殺し合いをしていたから、無論そう平和ではなかったが。 信長が化生、と呼んだのもそういう背景がある。 とまれ、猫歯。「チッ」舌打ちをして顔を挙げたときには信長は姿を消している。 それがあくまで武家の忍者に対する仕置きだと思っている。汚らわしくさえ思われているのではないか。 その足でまず伊賀にもどる。情報収集のためである。伊賀では仕えているのが同じ郷士だからといって同じ大名に仕事にいくとは限らない。猫歯九郎兵衛が織田なら幼馴染の馬次郎が上杉に、といった按配であったので、自然敵国に属しながら情報は交換していた。 京の本能寺から己の上忍の祝部三太夫の下に戻った。 戻たといってもすでに夜半である。 ってここまで書いてみたら字数が多すぎて我ながら嫌気がさしました 講釈たれてるだけで4000字消費してるみたいです 暑いからもう今日はゲロです。 大体の話が知りたい人は 忍者 四貫目の死で検索願います。 もうこれから猫歯さんが魔法使ったり、信長が戦車のったりのおよそA4にして30ページのスペクタクルを用意していたんですがこの暑さと私の年齢ではもう無理なことが判明しました 最終的にはFFの製作スタッフにCGを作ってもらう予定でした、ウソです^-^ なにしろもうゲロですからね 杖がないともう世間を歩けないです。どうですか。少しはIXAメンテの暇つぶしになりましたか。 次回更新はお盆なんで幽霊見た話とかを交えて・・・ああもう タイピングするのすら頭がコカコーラになってます それではお休み 今日も仕事をサボったchicchi666 15:00くらい 参考文献 万川集海 忍秘記 忍者と忍術 孫子 六韜 三略 等(結構マジで読んでます) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/08/25 04:27:17 PM
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