息子の歯が抜けた。



3ヶ月ほど前から、ぐらぐらしていたところで、ここ数日はいつ抜けてもおかしくないほどに緩んでいたのだ。

今度の5月で6歳になる。
歳から言えば、相応だろう。



しかし、全くのわが事ながら、今すんでいる家に引っ越してきたのがほぼ5年前。そのとき彼はちょうど1歳を迎える頃だった。

ほかの子ほどは活発でなく、寝返りもうたなかったが、この家に引っ越してきて2-3ヶ月のうちに伝い歩きから一人歩きまでできるようになったことを思い出す。
その頃、歯はずいぶんと生えていたけど、でもまぁ、赤ちゃんだった。

歩けるようになっても、だっこをせがむし、夜泣きは2歳半くらいまで続いた。
おねしょにいたっては、いまもまだしている。

ついこないだまで赤ちゃんのようだったこの子に、もう永久歯が生える頃になったという事実は、そんなにも時の流れは速かったかと、感覚的に受け入れ難い。


むろん、めでたいことだ。

最近は骨格もがっしりしてきて、おふざけでパンチを受けたりすると、予想以上に痛かったりもする。
着実にお兄ちゃんになっていってるのだろう。




もうちょっと、叱られてすぐ泣くのを治してくれればと、思う。

もうちょっと、積極的に打って出ていける性格になればと、思う。



でも、そんな「もうちょっと」を一つづつこなしていくと、いつの間にか自分の手元からは離れて行ってるんだろうな、とも思う。

小さくて、床に落としたら見失ってしまいそうな息子の乳歯。



そういえば、この歯が最初に生えた歯だったよなぁと、昔の写真をめくってみたりして。
あのときは、すごく嬉しかった。

今回も嬉しい。


「おめでとう」と言った僕の言葉に


ニヤリと返した息子の笑顔から前歯が欠けているのを見ると




一歩だけ大人の階段を昇られた気がして、さみしくもある。



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