あるとき、あまりに暇で、友人と女優の演技論を語ってみた。

「女優さんの演技を見ていて「お！」っと思うところを挙げてみよう。

まず、おいらからね。」

「ドラマの中でコートを着るシーンがあったとする。」

「うんうん。」

「下にはセーターを着ていたとする。」

「うんうん。」

「袖を通すときに、、、」

「胸を張るときの、胸のふくらみか？」

「まぁ、待て。そんなのじゃない。」

「うん。」

「セーターの袖がコートの袖の中でめくれないように指で押さえることがあるだろう。あれが、いいと思う。」

「・・・・」

「なんか、ほら。一連の演技の流れの中で、本人すら気づいていないんだけど、何気ない素の生活が垣間見えるって言うか。わかる？」



「。。。。」



「コートの袖の中で、セーターの袖がめくれ上がったら、気持ち悪いやんか？おいらなら、高速道路運転中でも路肩に止めて直すよ。そうならないために、無意識の中でやっている行動、それはその女優さんにとって無意識の中の行動で、女優が女優じゃなくなった瞬間って言うか、、、」





賛同は得られませんでした。




でも、力説したおかげで、当初目的は達成したと思う。



だって、暇だったんだもん。


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