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先月下旬のある夜、リバプール市内のとあるバス停で、黒人少年アンソニーは彼女(白人)と、いとこと、バスを待っていた。
そこで、数人の若者に、人種差別的な罵声を浴びせられたため、彼らはそれを無視して安全なほうへと移動を始める。 ところが、公園のそばへきたところで追いつかれてしまう。 助けを求めにその場を離れたアンソニーのいとこと彼女が戻ってくると、そこにはアンソニーの体が地面に横たわっていた。襲ってきた若者たちが使った凶器である斧は、アンソニーの頭部に刺さったままだった。その後、彼は病院で死亡が確認された。 この事件によって、イギリスという多民族国家のなかにあって、人種差別主義者の確かな存在をまざまざと見せつけられた。もちろん、そうでない人たちも大勢いて、平和に暮らしているところもあるけれど、常に差別され、罵倒され、犯罪が多く起こる、そういう地域も多いのだ。 この日は、その、アンソニー君のお葬式が、リバプールの大聖堂で行われた。 ご遺族の意向で、式に参列する多くの人は、彼がフットボール好きだったこともあり、フットボールのストリップ(ユニフォームのこと)を着ていた。悲しく、辛い、重苦しい式ではなく、彼の人生を讃える式にしたい、ということだった。 それにしても、なんてことだろう、と、思う。 彼は、18歳だった。人望も厚く、学校では人気者。悼辞を述べたうちの一人に、彼の親友がいた。アンソニーは、引っ込み思案でなかなか友達が出来なかった彼の、初めてのお友達になった。既に幼稚園で大人気だったアンソニーのおかげで、彼もどんどん人生を楽しめるようになってゆく。涙を浮かべながら、アンソニーへの気持ちをはきだす彼を見ていて、ああ、こんな友人を持っていた彼が、なぜこんな理不尽な理由で、命を落とさなければならなかったのか、と思った。 差別的で、人を見下す人。それは、そうしないと不安だからそういう行動を取るのだろう。無知で、極端で、周りに耳を貸さない。ゆえに、他人の考え、生き方、そういうのが全く見えなくなる。従って、周りは知らないことだらけ。肌の色が違う人を見ると、見下さずにはいられなくなる。その人が、どういう人かわからないから、怖いのだ。 卑怯者。 友人が数年前私にちらっと話したことがある。北イングランド出身の彼は、自分の家に帰るのに、タクシーがあるエリアを通ってくれなかった、というのだ。 その日、クラブ帰りだった彼は、歩いて帰るのも面倒だ、と、タクシーを拾った。自宅の住所を告げると、「○○を通らないといけないから、お客さん悪いけど、乗せられないよ」と、いわれたそうだ。その後、数台に断られて最後に乗せてくれたタクシーの運ちゃんは、その、○○というエリアをうまく迂回して彼の家まで送り届けてくれたそうだ。なんでも、○○には、警察も入って行くのをためらうような、かなりな無法地帯があるらしい。そこでは、差別主義者やジャンキーがうろついており、昼間でも人出はまばらだという。 友人よ、、、。君は、そんな所の近所で育ったのか、、、。色々と苦労の多い彼であるが、いいヤツである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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