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カテゴリ:BOOKS
中山七里氏の 「おやすみラフマニノフ」 前作「さよならドビュッシー」とリンクするミステリー 前作同様、新鋭ピアニスト兼音大講師、岬洋介が先導しての謎解きが始まる。 そして、 前作同様、美しい音楽の調べが、 氏による緻密で繊細でスピード感あふれる文体で強烈に表される。 わたしはこの本を出先でなく家で読んだ。 それは、この本を読みながら、 ラフマニノフやチャイコフスキーを聴くためである。 もちろん、聴かなくても氏の綴る文章で、 音楽の美しさと尊厳さは十分に伝わる。 まだ見ぬ楽器の、 つややかなそのボディとその音色に、 まだ聴かぬその音の粒が 光の中を駆け上がるさまを、 何度思い浮かべては、涙が流れ心洗われたことだろう。 ゆるやかで甘美、一点の曇もなく突き抜けるようでいて、 官能的。 どんなことばを連ねても 音の美しさには敵わない。 連ねることばが見つからない。 なのに、この本にはその美しさが文章となって、 あふれている。 そんな強烈に心をどんどんとノックされるのに、 肝心のミステリーとしては、どうなんだろう。 音楽が素晴らしすぎて、 キャラクターが負けている。 そんな気がした。 おまけ 図書館で本を借りると、 借りた本と返却日の記したレシートみたいな紙が渡される。 その紙は、自分の分はすぐさま捨てるのだが、 以前に借りた人の紙がまだ、はさまったまんま、 わたしの手元に回ってくることがある。 他人様の その紙を見るのが好きだ。 そして、写メして、 その本を検索して、借りる。 レシートストーカー。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年07月23日 22時54分31秒
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