香り
広い職場の敷地内には、いろんな棟があり、 古い棟から、改修したての新しい棟もある。 わたしのいるところは古い建物なので、 夏暑くて冬寒い。らしい。(まだ1年間を経験していない) その敷地内を一日に1回あるいは2回、 ほかの部署へのお使いにでる。 そのついでに、新しい棟のトイレを利用する。 やはりトイレは新しくて明るくて清潔なところがいいのである。 鏡の前にはちゃんとたくさんの灯りがついていて、 姿見くらいの鏡もちゃんとあって パウダールームとまでいわなくても、 みだしなみも整えられ、 そして本来の目的もスマートに行える場所がいいのである。 で、お気に入りのトイレが何箇所かあって、 今日もそこをめざして歩いていく (お使いではなかったのか?) 人を感知して天井の明かりがともると同時に ドアを開ける。 ドアを開けた瞬間に 華やかな、鼻につきぬけるような香りがただよう。 ゆりだ。 おおきなカサブランカほどもありそうなゆりが 生けてあった。 入ったときは息苦しくかんじたきつい香りが しだいに自分に馴れ、染みこんでいく。 今日は、用もないのにこの花に会いに、 3回ほどこのドアをくぐった。 そして、このトイレの建物を一歩出ると そこには きんもくせいの香り。 とおくからしずかにただよってきて ある瞬間には ふっと鼻先まで届くくらいに近く香る。 こないだすれ違ったひとも とてもいい香りがして、 ついていきそうになったけど、 お花の香りは また 格別だ と思った。 まだ、つぼみもあるから、 来週も日参しよう。