「たま」が
来たのである。
ヨーロッパ・ツアー開始
...
じゃなくって、
猫のたま。
たまは我がオフィスの近所に住まう、
金目銀目の小さな白猫で、
私が幼かった頃
祖父母が飼っていたのと同じ様に、
頭の辺りに薄っすら灰色が入っている。
まぁ人懐っこい子猫で、
仕事の行き帰り
よく
猫ミュニケーションをとっていたのだが、
この水曜日
初めて飼い主女性にお目にかかり
お宅の猫ちゃん可愛いね~
なんて話しかけたら、
持って帰っていいよ
と
...
どーやら彼女は
マジョルカに来てまだ半年、
ウェイトレスをしてたんだけど
勤め先が経営不振で
かれこれ3ヶ月給料もらってないとかで
家賃払えないから
この週末で
バルセロナの実家に戻るとの事。
でも、
実家はペット駄目なんだって。
仔猫ちゃんは
家の前の広場や家の横の小学校で
子供たちと遊ぶんだけど、
いざ、
貰ってくれと頼むと皆首を横に振る。
保健所に預けたら
殺されるのがオチらしいので
どっかの野っ原に捨てるしかないかしら?
と、
頭を悩ませていた所と言う。
つい先日
パオピーそっくりなシャム仔猫ちゃん
貰ってくださいと頼まれ、
物凄く欲しかったんだけど
11月いっぱい帰国で留守にするからと
お断りしたばかりだ。
が、しかし、
あれは猫好きさん連絡網を所有する
動物保護団体からのお話で、
私が断ったところで
他にも何十人もの当てがある。
が、
この白猫ちゃんは
マジョルカに来て半年
友達も出来ないまま国に引き返す、
そんな
途方にくれた女性が
藁にもすがる思いで
オッファーしているのだから
話が違う。
っつーか
断れないじゃん。
なので
じゃあ、明後日金曜日引き取ります
...
と
即答してしまった。
そして昨日金曜日
仕事の後に引き取って
大き目の発砲スチロールの箱に入れて
助手席に乗せて家に向かったんだが、
ニャァーニャァーニャァー
の
悲痛な叫びに混じって
バリバリバリバリバリッ...
あらま、
箱を破って飛び出した。
で、
飛び出したは良いが
見知らぬ動く場所にパニクり、
ダッシュボードに登ったり
後部座席に走ったり
二本足で立って窓の外に助けを求めたり
...
しかし
他の車や通行人は
微笑ましそうに手を振り返すだけの
選挙カー状態。
こんな事なら
タスキ位用意しておいてやればよかったよ
...
仔猫ちゃんは
結構あっと言う間に
我が家に馴染んでしまい、
この日から自分が
たま
と
呼ばれる事にも
なんの違和感も無い様で
呼べば
「にゃぁ」と返事をしてやって来る。
呼ばなくても
にゃんだかんだ
1人でにゃーにゃー訴えながら
近寄って来る、
結構なお喋りさんだ。
♪ 二酸化炭素を吐き出して
あの子が呼吸をしているよ~♪
たまを抱っこすると
ついつい口ずさんでしまう私。