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「東京のすぐ北」にありますから――。素通りする外国人観光客を県内に呼び込もうと、埼玉県が新たな誘致作戦に乗り出した。観光庁の調査によると、県内の訪問率は昨年わずか1・8%。東京五輪開催時の2020年までに5%に引き上げるという。
訪日外国人の都道府県別の訪問率をみると、東京都が51・4%でトップ。埼玉は、神奈川(12・3%)、千葉(11・7%)はおろか、山梨(4・8%)、長野(2・9%)も下回っている。ちなみに群馬は0・7%だった。 課題は「サイタマ」の認知度の低さだ。川越を訪れる外国人観光客は結構いるが、「そこが東京だと思っている人も多い」と県観光課担当者は嘆く。 そこで、今年、英語と中国語で外国人観光客向けに、川越に的を絞ったチラシを初めて作成。「Just North of Tokyo」(東京のすぐ北)と表示し、東京からの近さを強調するとともに、空港からの地図を大きく載せた。 さらに「都心からわずか30分」「川越は埼玉にあります」と解説を加えたが、効果のほどは。 (朝日新聞より) ------------------------------ 現状では仕方のないところ。 東京はもちろん、もともと外国人に人気のある横浜を擁する神奈川県や、東京ディズニーリゾートのある千葉県(加えて成田空港もある)は特別な存在。 富士山のある山梨県やアルプスの山々に恵まれた長野県に比べて埼玉県が(観光的な)知名度で劣るのは想定内だろう。 埼玉県の資料によると、同県を訪れる観光客は年間8500万人。 うち宿泊観光は184万人と少なく、大多数は県内外からの日帰り観光ということになる。 これは東京から近距離であることに加え、温泉などの行楽宿泊地が少ないことも影響しているかもしれない。 一人当たりの観光消費額は県外からの観光客で宿泊14,072円、日帰り2,790円と全国的に見ても低い。 これは都心からの近さや行楽宿泊地の少なさ、名物や特産品の知名度の薄さなどが影響しているように思う。 気になるのは県民の地元への愛着度が47都道府県中最下位であること。 これはベッドタウンとしての流入人口が多いため歴史や伝統への愛着が薄いことが要因とされるが、観光地としての地元のよさを発信していく上では一つのハンデになる可能性もある。 埼玉県内で観光地として名が知れらているとすれば秩父・長瀞と川越だろうか。 川越は小江戸の風情を伝える街並みでキャンペーンを展開しているほか、秩父は最近アニメの聖地として知名度を上げつつあり、こうしたプラスアルファのブランド力が集客の一つのきっかけになることは間違いない。 また、浦和レッズをはじめとしたプロスポーツ観戦も重要なコンテンツ。 2019年のW杯ラグビーでは熊谷市が会場となるなど人を呼べる要素はある。 この他では熊谷が日本一暑い街としても売り出しているほか、越谷レイクタウンなどの超大型商業施設の存在もアピールのポイントになるだろう。 今後は県内はもちろん、周辺都県もふくめた広域連携が一つのカギになるだろう。 例えばラグビーで熊谷を訪れた外国人観光客を川越へどう誘導するか、など。 県は作戦として「川越は埼玉にあります」など埼玉の知名度を高めることを狙っているようだが、それ以上に言葉は悪いがどさくさにまぎれてでもいいから県内に来てもらってよさを知ってもらうことの方が効果的に思える。 実際、東京ディズニーリゾートもその名の通り東京にあると信じている人はそれなりに多いのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.11.09 01:42:54
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