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カテゴリ:測量
今月11日で東日本大震災の引鉄となる東北地方太平洋沖地震の発生から5年になるが、国土地理院がWebサイトで平成23年(2011年)東日本大震災に関する情報提供について、震災後5年間の対応を総括している。
国土地理院では発災直後から空中写真撮影や地殻変動の監視等を通じて救助・救援や復旧復興を支援してきた。 その対応を取りまとめたのが以下の図になる。非常に分かりやすいので引用させて頂く。 地殻変動の監視については、電子基準点網やVLBIによる精密な観測により地震後の余効変動等を把握し、復旧・復興活動の土台となる測量成果の精度確保を行った。 測量成果の改正(測地成果2011:三角点1846点及・水準点1897点の現地測量結果を基に、1都19県の43312点の三角点位置および1,897点の水準点標高を再計算して改定)も大きな成果といっていい。 何しろ基準点が改正されなければ復興の土台となる測量ができないのである。 ちなみに地震の影響により日本経緯度原点は東に約27cm移動、日本水準原点は2.4cm沈下したことが確認され、日本経緯度原点の経度と原点方位角及び日本水準原点の高さも改正されている。 空中写真の撮影は発災直後から行っている。 最初の撮影は地震翌日の3月12日から19日まで。 航測業界全体がタッグを組む形で役割分担をして実施され、この成果で被害の全体像の把握が可能となったほか、津波浸水範囲の判読が行われた。 その後も何度かに渡って撮影は行われ、復興の重要な基盤となる災害復興計画基図が作成されている。 また、防災対策立案の基盤となる、震災後の高精度標高データも整備された。 これは主として航空レーザー測量による成果だったと記憶している。 さらに、この震災をきっかけにさまざまな地理空間情報のアーカイブ化が進んだことも特筆すべきだろう。 国土地理院は災害発生時の自らの役割について、以下の4つを挙げている。 1.災害の全体像を迅速かつ正確にとらえること(災害対策用地図の提供、空中写真の撮影、空中写真判読の実施、情報を集約し地図化、現地対策本部等へのリエゾン派遣) 2.国土の変化を精密に把握すること(電子基準点等による地殻変動観測、航空レーザ測量、干渉SAR解析) 3.復旧・復興のための基準を提供すること(基準点の改測、災害復興計画基図の作成) 4.災害を分析し、次の災害に備えること(地殻変動の分析、災害地理調査の実施) もちろん、地理空間情報による震災後の貢献は国土地理院のみにとどまらない。 他の機関や民間企業も機材提供や情報提供を通じて多大な貢献を行っている。 このあたりもいずれ改めて触れられたらと考えている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.03.04 13:58:40
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