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不名誉な都市伝説 仙台「美人いない」本当?(河北新報)
河北新報のお膝元である仙台が「日本三大ブスの産地」と言われる不名誉を考察している興味深い記事。 もちろんこの手の称号が「都市伝説」であることは、実際に仙台の街を歩く女性たちを見れば分かること。 しかしこうした風評がどうして定着したのだろうか。 この件について学術的に研究している研究者がいるそうだ。 東北大大学院文学研究科の大村哲夫助教(臨床死生学・宗教心理学)がその人で、仙台がブスの産地とされる根拠を作家坂口安吾の発言をルーツとする説を挙げている。 坂口が取材で仙台を訪れた際に新聞社の取材に「仙台の町は今後きれいに発展するだろうが、美人がいないのが残念」と語ったことが風評に発展したと分析。 「取材前日に坂口が接待を受けた仙台の飲み屋に、好みの女性がいなかったせいではないか」というのが大村氏の推測だ。 さらに大村氏は、江戸時代に当地を治めた伊達家に武家文化が色濃く、女性も家の格式で格好や振る舞い、話し方が決まってろい個性が生まれにくく、武家以外の人間には気位が高く見られがちだったという「性格説」にも触れている。 その他色々調べてみると、庶民の間でよく言われている説としては、「仙台藩主伊達政宗が参勤交代の際に美女ばかり江戸に連れて行ってしまった」「3代綱宗に見初められて囲われるのを拒み、殺害された吉原の高尾大夫の呪い」「殿様が参勤交代の際に芸者通いをしていたことからそうからかわれた」「東北中から嫁に行けない容姿の女性が(都会である)仙台に集まる」などいずれも風評の域を出ないようなものが多い。 同じく「三大ブス」の不名誉を着せられているのが水戸と名古屋だが、言われる理由は仙台とよく似ている。 水戸は「佐竹公が秋田にお国替えになった際に美人を秋田に連れて行った」とか、水戸や名古屋は御三家だったので「美人はみんな江戸に連れて行かれた」といったもの。 また、仙台でも理由のひとつとして挙げられている「殿様が参勤交代の際に江戸で遊びまくった」という説は水戸や名古屋でも聞かれるので、かつての殿様の振る舞いが時代を越えて地域に不名誉な風評をもたらしているといえるのかもしれない。 もうひとつ興味深い説は、いわゆる美人の代表例として挙げられる「秋田美人」「新潟美人」「京美人」「博多美人」がいずれも日本海側であることと関連付けているもの(秋田については日照時間や湿度という理由を挙げている例が見られるが)。 そういえば仙台・水戸・名古屋は太平洋側ではある。 前述のようにこうした風評は江戸時代に起因するものが多く、現在ほど他地域との行き来がない故に地域性に関連した噂話が広がったともいえる。 と同時に、一度定着した風評が、飛行機や新幹線の発達で人が自由に行き来できる現代になってもまだ残っているあたり、定説を覆すことの難しさを感じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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