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2016.09.14
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カテゴリ:地理
Interview 大西拓一郎(言語地理学者) 「方言周圏論」への批判提起 『ことばの地理学』出版(毎日新聞)

『ことばの地理学−方言はなぜそこにあるのか』を出版した国立国語研究所の大西拓一郎教授のインタビュー記事。
同書は柳田国男の「方言周圏論」に批判的な立場をとる。

柳田が『蝸牛考』(かぎゅうこう)で提唱した「方言周圏論」は、新しい言葉は文化の中心地で次々と生まれ、周辺部へ波紋のように広がり、同心円的分布が形成されるとする考え方。
柳田はこれをカタツムリを表す方言で実証した。

これに対して大西教授は、『日本言語地図』などに基づきカタツムリを表す語の分布を分析した結果として、同心円=周圏的性質を示す客観的根拠は乏しいとしている。
加えて、過去の調査と最近の調査結果を比べた結果、言語変化が文化の中心地などの同じ場所で、繰り返し生じるという考え方も、否定せざるを得ないという。

こうした考え方の違いが出現した背景として、GISの普及があるとしている。
定量的な分析が容易にできることはもちろん、言葉に関する情報を、さまざまなデータと重ね合わせて分析できるようになったことが大きいというのだ。
この際に、過去の多くの調査の積み重ねが役に立ったおいう。

同書では他にも、これまでの通説を覆すような内容も多い。
さまざまなデータを駆使しての結果という意味では、まさにGISならではといってもいいだろう。
『蝸牛考』は言葉の地理的分布に関する研究に大きな影響を与えていただけに、大西教授の投げかけは今後の研究を活性化する役割を果たしそう。

言葉が伝わるには人が動かなくてはならない。
地域の言葉に影響を与えるような人の動きや繋がり、コミュニケーションの方法など、地理的な観点からも興味が尽きないテーマ。





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Last updated  2016.09.14 01:23:36
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