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英虞湾海底地図を志摩市に贈呈…サミット前測量(読売新聞)
第4管区海上保安本部が英虞湾の海底の様子が分かる3種類の「英虞湾海底地形図」を志摩市に寄贈したニュース。 同本部では伊勢志摩サミット前の一昨年の7~10月に、最新技術を使った測深機で英虞湾の測量を行い、1万6000分1の海底地形陰影図、同じく1万6000分1のアナグリフ(赤青のフィルター越しに見ると海底の起伏が立体的に見える)、1万分1の等深線図の3種類の地図を作成した。 大正時代に測量して以来100年ぶりのことという。 これはなかなかに興味深い。 英虞湾というのがいい。 英虞湾は日本のリアス海岸の代表例として紹介されることが多い。 一般にリアス海岸は水深が深く良港を形成するケースが多いわけだが、英虞湾は一般的なリアス海岸に比べて水深が浅く、湾内ではおおよそ20m前後だが、湾奥では5mより浅くなる。 また、湾口部の水深が12mと湾内よりも浅いことから、英虞湾はすり鉢のような形状ということになる。 この形状が災いして湾内と外洋の間で海水が入れ換わりにくいため、特に湾奥では冷水が滞留しやすく、かつて養殖業は赤潮の発生に悩まされた。 その後1932年に先志摩半島の狭窄部に深谷水道が開削され、黒潮の流れる太平洋の暖かい水を英虞湾に引き込むことで水質を改善させたことに加え、漁船にとっても湾内と湾外の航路が短縮される恩恵をもたらすことになった。 その一方で、2011年の東日本大震災の際には、この水道部から津波が湾内に侵入したことで養殖業に被害を与えている。 英虞湾が浅い理由は、先志摩半島の形成過程とかかわる。 英虞湾や先志摩半島一帯は隆起海食台地と呼ばれる地形で、一旦隆起した台地が侵食を受けて谷が刻まれた後、再び沈降して形成された。 このため低平な台地の標高が低い部分が海底となり、高い部分が陸地として残ってリアス海岸を形成したほか、賢島をはじめとした湾内の島々なったということだ。 などと文章にするよりも、記事にある「英虞湾海底地形図」を見る方がはるかに理解はしやすいのではないかと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.01.09 03:20:57
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