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パンフに宗谷地方「日本最北端」 5000部廃棄(琉球新報)
日本最北端は北方領土の択捉島なのに、北海道宗谷振興局は宗谷地方を「日本最北端」と表現するロシア向けの観光パンフレットを作製し、完成した5000部を廃棄して作り直すことになった。 これはなかなか難しい問題。 日本最北端の地は公式には択捉島のカモイワッカ岬だが、ロシアの実効支配下にあるため、実際に訪れることはできない。 一方宗谷地方は「日本最北端」を観光の目玉にしている。 稚内市に位置する「日本最北端の地の碑」は道北随一の観光スポットとなっており、最北端到達の記念撮影の人が順番待ちの列をつくるほど。 <「日本最北端の地の碑」筆者撮影> つまり地域の観光パンフレットの内容としてはごく自然なものだったということだ。 問題は、このパンフレットがロシア向けのものであったことにある。 この書きぶりではあたかも北方領土の領有権を放棄しているかのように捉えられてしまうおそれがあるということだ。 しかしこの記載を削除することは事実上この地域のアイデンティティそのものにも影響を与えることになる。 何よりも、記載を削除したところで実際にロシア人観光客がこの地を訪れればわかってしまう可能性は大きいわけで何とも難しい(記事によると宗谷岬の日本最北端の地の碑そのものがパンフから削除されたとのこと)。 ロシア人観光客に限らず、国際社会に日本の領有権を正しく主張することを考慮すれば、この地に「日本最北端の地の碑」があること自体が都合が悪いということになってしまう。 とはいえ、「現時点で実際に到達できる」日本最北端の地が宗谷岬であることには変わりはないし、それを観光の目玉にするのは地域にとっては当然のことともいえる。 ロシアの実効支配が長引けば長引くほど、北方四島が日本の領土であるという国民の(とりわけ地元道民の)「実感」は薄れていきがち。 領土問題の難しさ、根深さをあらためて感じた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.09.06 00:26:05
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