伊坂幸太郎「死神の精度」
これは。素晴らしかった。 私的に、伊坂作品の中で1位は「オーデュボンの祈り」でしたけど、同率一位です!! 短編集なんですけど、いやもう、全話がイイ!!以下、ネタバレの感想に続く。 死神は音楽好き。 そして、何千年も生きているのに、人間界のことをよく知らないという設定をフルに使ってるなぁと思いました。 導入部ということで、伊坂幸太郎流の死神を説明するシーンが多いけど、なんかしっとりしている「死神の精度」(もしかして、精度と制度をかけたのかな?)、この設定を使って、鮮やかなラストをみせる「死神と藤田」、これまたこの設定を使った風変わりなミステリーの「吹雪に死神」、死神と殺人を犯した少年との交流を描く「旅路を死神」・・・どれも標準以上に良かった!! だけど、群を抜いていいのが、「恋愛で死神」です!! ラストは、もう心臓を握りつぶされるぐらい、心が揺さぶられた感じです。 伊坂さんの小説では、「アヒルと鴨」を除いて、どれもなんらかの救いがあったはずですけど、この話は悲しすぎる・・・と思っていたら、短編集の最後のお話、「死神対老女」でまさかの救出ですよ!!! あれは、鮮やかすぎますねー。 けっこう人が死ぬし、悲しい話もあるんですけど、読後感がやたら良かったです。 惜しむらくは、本のデザインがイマイチなことと、素材が安っぽいことかな・・・本屋に積まれている新品でも、すでにカバーが傷ついているし(・∀・;)