2012 SUZUKA8HOURS
ゴール寸前にもかかわらず、表紙台をかけて2台激しいバトルが繰り広げられていた。
フランスからやってきたGMT94ヤマハ、日本のエヴァRT初号機トリックスター・カワサキ。
ホンダの本拠地である青山ウェルカムプラザでは、そこに集まった多くのホンダファンはメーカーを枠を超えて、ひとりの侍ライダーに声援を贈っていた。
出口修、フレッシュタイヤを履き意気が上がるフランスの耐久チームに、グリップの落ちたタイヤを流しながら・・通常ではありえないペースで猛然と牙を剥いていた。
チェカが周回遅れを上手く使い、出口の前に出る。
暗闇の中、チェカのテールが遠くなる。
使い古されて思うようにグリップしないタイヤ、それでも諦める訳にはいかない。
シールドの下では寝る間を惜しんで、マシンを仕上げてくれた仲間達の顔が浮かぶ。
「1年かけて用意してきた・・
不利な闘いだが、ここで負ける訳にはいかない。」
しかし、鈴鹿サーキットに潜む魔物はそんな出口にあまりにも非情ともいえるラストシーンを用意していた。
その瞬間、孤高な闘いを挑む出口に声援を贈り続けていた・・多くのファンの悲鳴が鈴鹿に鳴り響いた。