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カテゴリ:釣行記
この度、泣く子も黙るお気楽投げ釣り軍団、ちょい投げ隊(知らんてか)に入隊することになりました。
ちょい投げ隊。その発祥は、名古屋港界隈を根城とする前打ち師達が、ちょい投げでチヌの好釣果を叩き出したことから、次第に投げ釣りに傾倒していった漢たちの集団・・・ ・ ちょい投げ隊員一号 N会長 ・ ちょい投げ隊員二号 NIGOさん そして今回わたくしが、ちょい投げ隊員三号として加わりました。 そして一ヶ月後・・・ 一号&二号 『入隊したのに、全然出撃しとらんがや~!!』 わたくし 『だって寒いんだも~~~ん(*^o^*)』 ご両人はこの極寒の中、ポン級や年無しをポンポン釣り上げておられますが、さすがに私のヤル気を疑われ始めましたんで、行ってきます。 私の好きなポイントは、冬場はことごとく北西風が直撃しますんで、今回は、新規風裏ポイントを開拓しようと、英虞湾の某半島を探索してみました。 当てずっぽうで民家など全くない山の中の一本道を通り、行き止まりで車を乗り捨て、山道を100メートルほど歩き、行き止まりから斜面を50メートルほど下って、投げられそうな海岸を目指します。 中々、ええ感じのゴロタ浜を見つけました。 夕マヅメにやっと20センチ弱のキス一匹。その直後に同サイズを一匹追加。これはキス時合いかと期待しますが、二匹で終了してしまいました。 日没後はユムシを投入しますも、アナゴ地獄にはまり餌切れ終了。 しかし厳寒期に久々にキスのアタリと引きを味わえて面白かったです。 9時頃、さて帰ろうかと荷物をまとめ、ヘッドライト二連装のマックスパワーで照らし、オバケが怖いですが、意を決して暗闇の山中に突入します。 ええと、確かコッチ方向やったかな・・・この方向で50メートルくらい登れば山道に出るはず。 あれ・・・ 山道が無いぞ・・・(‐‐; そうか、もっと登らんとアカンのやったかな・・・ 来るときに山道の行き止まりからポイントへ降りていく場所の木の幹に、白いビニールを結びつけて目印にしておきましたが、進めど進めど全く見つかりません。 そうか、登る方向がもうちょっと右寄りやったかな・・・ 右に90°方向転換して進みます。 あれ、見たことの無い場所に出たな・・・(‐‐; そうか、逆の方向に来てしまったんやな・・・ 180°方向転換して戻ります。 あれ、元の場所に戻れへんな・・・(‐‐; しかし、この茂みの感じは見覚えがあるんで、きっとこの先が山道やな・・・ あれ、茂みがどんどん深くなって進めへんな・・・(‐‐; やっぱり反対かな・・・ この時点で完全に方向感覚は失われ、きっとコッチだと探せば探すほど見覚えのない場所に出て、右も左も分からなくなってしまいました。 ・・・ヤバいな(‐‐; 明るい時点では、ポイントの下見に行った後に車に戻り、道具を担いで再びポイントへ行きましたが、全く迷うようなことはありませんでした。また、車から近かったこともあり、迷子になってしまうとは想定してませんでした。 真っ暗闇の山中で、ヘッドライトに照らされた樹木だけが異様に浮かび上がり、進めば照らされた木の陰が右に左に伸びて、真っ直ぐ進んでいるのかさえ自分でも分からなくなってきました。 20キロ以上あろうかというフル装備を担いで、胸の高さほどの茂みをかき分け、木の枝をかいくぐり、アップダウンの激しい地形を、焦りからかなり急いで移動していたので、防寒着の中は汗でびっしょりでフラフラです。 すぐ脇がいきなり崖になっていたり、もうこれ以上の探索は危険極まりないので、諦めてビバーク(野営)して夜明けを待つことにしました。 しかし、ビバークと言ってもテントなど準備している訳もないので、リクライニングチェアーを倒し、クーラーの上に足を乗せて休みます。 ちょうど鳥羽で竿出ししていたNIGOさんに状況を説明すると、飲料と防寒の確保をするよう言われました。 動きまくって汗をかき、ハアハア口で息をしていたので、非常に喉が乾いています。 いつも荷物の軽量化のため、飲み物はポイントで飲むであろう最低量+αくらいしか持って行きません。水筒に入っていた熱いお茶は、撤収する直前に手を洗うのに使ってしまい、ペットボトルのカフェオーレが一口分くらいあるだけです。 クーラーの氷も釣果の無い時は釣り場で捨ててきます。しかし、今回だけはたまたま1.5Lのペットボトルに水道水を凍らせて持ってきていました。本当に久しぶりに。これが一つ目の幸運でした。 防寒に関しては、厳寒期に屋外で一晩耐えられるだけのものは持ってませんが、この日は自分の持っている中では一番暖かい組み合わせを着込んでいたこと。あと、普段そこまで使わない使い捨てカイロが6枚ほどリュックに入れてあったこと。これが二つ目の幸運でした。 そして、当日は北西風が強かったですが、日没から風がほぼ止まり、低気圧が遅れて翌朝まで雨が降らなかったこと。これが三つ目の幸運でした。 これで何とか翌朝まで頑張り、夜が明けたら海岸線にでて対岸の景色で現在地を確認できます。方角さえ分かれば、何とか帰ることが出来ると思えます。 しかし、車を乗り捨てた道路は細い一本道ですが、半島の途中までの曲がりくねった行き止まりの道なので、単純に海の反対側(山側)に進めばいずれ道にぶち当たるという保証はありません。 その場合、いつまでも道に出ないまま、道なき山中を数キロも行軍しなければならない可能性もあります。 とてもじゃないですが、すべての荷物を担いだままこの山中を抜けることは到底出来ないでしょう。 この時点で、ある程度の荷物はこの場に捨てていこうと考え、リクライニングチェアーとクーラー、三脚、空の水筒、オモリ等を捨て、リュックとロッドケースだけは持ち帰ろうと決めました。 あとは体力を温存しなければなりません。 体中にカイロを貼り付け、普段使いもしないネオプレンの手袋がベストに入っていたので、はめて横になります。 しかし、汗を吸った下着は冷たさを増し、寒さで全く寝られません。 周囲数キロに全く民家も何もない漆黒の闇の山中での野営は、帰る方向さえ分からない不安と恐怖が心身の疲労を加速させます。 もし今、雨が降り出したら・・・ レインウェアも傘も持っていないので、死なないまでも、夜が明けてから歩く体力は残っていないかもしれません。 もし、携帯のバッテリーが切れたら・・・ 自分の状況や詳細な場所を伝えることが出来ず、万一の救助要請の際、捜索が困難になるでしょう。 もし、飲料水が少なかったら・・・ 脱水症状で動けなくなってしまうでしょう。 もし、道中で崖などから落ちて歩けない怪我を負ったら・・・ たかが地続きの湾内の半島でそこまでは心配ないだろうと思いがちですが、これらの悪い偶然が二つくらい重なると、今の自分の疲労具合から簡単に遭難してしまうのが容易に想像でき、背筋がゾッとしました。 寒さと不安に凍えながら何とか夜明けを迎え、木々の間から明るい海面がわずかに見えます。 荷物をその場に置き、45°くらいある斜面を木につかまりながら下りていきますが、疲労と筋肉痛で足がガクガクです。 海岸線に出ると、見慣れた対岸の景色があり、どうやら昨日投げていた浜から100メートルほど北の海岸のようです。 対岸の景色と背後の山の位置関係をよく確認し、山道の方向を予測し、再び荷物の置いてある場所にもどります。 しかし、また思い込みで突き進むとエライことになりそうなので、一旦釣っていたポイントの方向に戻ってから記憶を頼りに山道を目指します。するとあっさり山道が見つかり、しかも自分が野営していた場所から山道までは、ほんの30メートルしか離れていませんでした。 昨夜、あれだけ縦横無尽に歩き回って、なぜこんなに近くにある道が見つけられなかったのか、僕はもっとはるか離れたところまで迷い込んでしまったと思っていましたが、まるで狐に化かされた気分でした。夜の山中では下手に動くな、という見本のような話です。 こうした釣りに関する危険な体験談で、じゃこ先生が非常に為になる経験談を書かれていて自分の認識の甘さを反省してましたが、内容が異なるとはいえ、今回単独釣行でこのような事態になったのは、僕に油断があったからに違いありません。 車から近いから迷わない。 半夜で帰るから必要ない。 こんなところで遭難するはずがない。 山越えの地磯などは特に危ないと思えますので、単独釣行はしないのは言うまでもないですが、もし野営する羽目になったことを想定して、必要最低限の装備は揃えておいた方がいいでしょう。 今回、僕が野営せざるを得なくなって、無かったら本当にヤバいと思った物は、 【携帯電話】 最悪の場合、地元の消防や警察に救助要請をするときに、自分の位置を知らせる唯一の手段ですね。皆さん持っているでしょうが、当然それを動かすバッテリーはもっと重要です。今回僕の携帯は十分充電されていましたが、エネループの予備を携帯につなぐ機械を持っていなかったのが悔やまれます。 【飲料水】 圧倒的に飢えより乾きです。腹が減って動けなくなるまでは、かなり時間があると思いますが、動き回って汗をかくと、すぐ動けなくなって行き倒れになります。見えている町までたどり着けないでしょう。これからは、クーラーの氷は必ずペットボトルにします。 【防寒対策】 釣りをしている時はある程度動いて暑いくらいの防寒着も、横になって寝るとどんどん体温が下がっていくのが分かります。夏は特に薄着なので、夜の冷え込みが予想以上になると、冬の厚着より辛い場合もあるでしょうから夏でもカイロを持ち歩いてもいいかも。人間、体温が下がるときは死ぬ時です。 【雨具】 雨に濡れると、夏でも急激に体温体力が奪われ、精神的な消耗度も凄まじい物があると思います。小型の折り畳み傘か、単なるビニールシート一枚でも有ると無いでは天国と地獄。 他にもテントやシュラフがあるに越したことはないですが、釣り自体が目的で、そこまで万一の時の為に常に持ち歩ける訳もないので、最低限はこれぐらいと思います。 今回、僕がこの中で持っていなかったのは雨具です。本当に雨が降らなくてよかったと思います。 後は、体力温存の為、最悪必要なもの以外はすべて捨てるという選択も必要でしょうね。 今回、色々と助言や励ましの言葉を頂いたNIGOさんには本当に感謝いたします。精神的な支えが運命を左右するときもあると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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