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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:アメリカ ・ 青春
父と息子が織り成す愛と孤独、不安。父との和解の道を求めて、若者の魂はさまよい続ける。 1950年代のアメリカは繁栄を謳歌する一方、「赤狩り」などによって重苦しい空気が漂っていた。そんな時代に登場した「上目遣いの青春」とも言えるディーンの反抗しながらも全身で助けを求めるようなスタイルに若者たちは共鳴したのである。 「愛されないほど、つらいことはありません。愛されないと心がねじけます」 どうしても自分を受け入れてくれない父にいらだちを見せるキャル(ジェームス・ディーン)。父アダム(レイモンドマッセイ)はキャルよりも優等生で模範青年の双子の兄アロンを可愛がり、母親似のキャルを何故か疎んじる。 兄アロンの恋人であるアブラ(ジュリー・ハリス)は粗野だが純真なキャルに思いを寄せるようになる。初めは打ち解けなかったキャルも、アブラの優しさに次第に心を開いていく。 「善も悪も親から譲られる。僕は悪だけを譲られた。自分がどんな人間かを知りたいんだ」 キャルの懊悩は続く。そして死んだと聞いていた母が生きていると知ったキャルは母に会いに行く。そして、娼家兼酒場の女将として生きる母ケート(ジョー・ヴァン・フリート)に会う。 ”悪女”として家族と縁を切った母だが、キャルに愛情を示していく。 「ケートは悪い女だし僕も悪い。だから親子だ」 母の住む町から帰る貨物列車の屋根の上で寒さに震えるキャル。列車の振動がまるで心の震えであるかのように伝わってくるシーンだ。 事業に失敗した父を助けようと、母から借金して大豆相場にかけたキャルは父を喜ばせようと大豆の生育を心待ちにする。そして父の誕生日、兄のアロンはアブラとの婚約を告げ、キャルは儲けた金を父に差し出す。だが、キャルに戻ってきた父の言葉は冷たいものだった。 「この金はいらん。アロンのような贈り物ならよかった。私を喜ばせたかったら、善人として一生を送れ」 「パパは聖人だ。つねに正しい。僕らはいつでも許される側なんだ」 キャルは涙ぐみながら出て行く。 気持ちの治まらないキャルは、兄を母のもとへ連れて行く。母の姿を見たアロンは自暴自棄になり、軍隊に志願、父は衝撃のあまり・・・。果たして親子の和解の時は来るのだろうか。 この映画は父子の相克、兄弟の憎しみなど重いテーマを描いた作品だ。人間の微妙な内面をとらえたシネマスコープの最高傑作である。 親子の愛憎に悩んでいる現代の家族に是非見て戴きたいと思う。 1955年製作 アメリカ・カラー 監督 エリア・カザン 出演 ジェームス・ディーン ジュリー・ハリス ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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